昨年の3月にこんな記事を書いた。
「昭和の時代は現代と違って、従業員が会社への忠誠心を持って仕事をしていた」
…というような話をよく聞くが、それはかなり疑わしい。
その根拠として、出張費として支給された額から実費を引いたお釣りや、飛行機を使用した際に発生したマイレージを私用として貯めるなど、会社の経費の横領を小遣い稼ぎの手段(財テク)として、当たり前のように用いていた人たちを紹介した。
そのような財テクの一例として、実際は公共交通機関を利用していないにもかかわらず、交通費だけはしっかりと受け取る不正受給も取り上げた。
そのテクニックはこうである。
①:申請に必要な定期券を利用開始数日前に購入する。
②:購入後、定期券のコピーを取る。
③:利用開始日前に払い戻す。
④:取っておいたコピーを会社に提出する。
こうすることによって、払い戻し手数料のみで、会社から架空の交通費をGetだぜ!
(※絶対に真似しないでください)
私がこの手口を知ったのは10年前に職場でのこと。
昼食時に同僚だった60代の女性と交通費の話をしていた時に、彼女から「若い時は家族から車で送り迎えをしてもらっていた場合でも交通費が支給された」と言われ、私が「昔の会社はそんなに太っ腹だったのか?」と聞いたら、この手口を披露された。
驚いた私が、「それは不正受給ではないのか?」と質問したら、その場に居た50代の男性が自分も経験があることと、昔はそのような財テクが横行していたことを暴露した。
彼らは自身の経験として語っていたが、私にとっては少し信じられない都市伝説のような話であり、事実だとしても、現代では通用しない裏技だと思っていた。
ところが、1ヶ月前にネットでこんな記事を見かけた。
【駅員漫画】定期券を作成後すぐに払い戻しするお客!?会社に架空の定期券を提出して交通費を横領する行動に駅員も唖然…|ウォーカープラス (walkerplus.com)
駅員として働いている人が職場で経験したエピソードを漫画として描いているのだが、そこで、私の元同僚が紹介した手口と同じく、定期券を即日(漫画では20分後)払い戻しして、架空の交通費を不正受給していると思われる客が登場していた。
彼らの話はどうやら本当だったようである。
しかも、これだけITが発達し、不正受給への目が厳しくなった現代においても、そのような輩は後を絶たない。
もはや、この社会の伝統なのかもしれない。
「バカは死ななきゃ治らない」という言葉がある。
たしかに、バカな人に限ってはそうだろう。
だが、悪人はたとえ当人が死んでも、その手法が後輩たちに着々と受け継がれるため、決して撲滅できないから質が悪い。