新型コロナウィルスのワクチン接種が始まってから数ヶ月経つが、あなたはすでに接種しただろうか?
ワクチンを接種する方法はもちろん注射である。
コロナに感染するのは怖いけど、注射を打つことも怖い。
そんなことを考えていないだろうか?
今回の記事が、そんな人たちにとって少しでも励みになれば幸いである。
・注射は何歳になっても怖い
先日、職場で昼食を取っていると、近くの席に座っているおばさん(失礼)たちの話が耳に入った。
おばさんA:「ワクチンの予約が取れたんだけど、不安でしょうがないの」
おばさんB:「それって、副作用で死んでしまうかもしれないってこと?」
おばさんA:「いや、注射を打つこと自体が怖いの」
それを聞いた私は思わず、口に含んでいた食べ物は吹き出しそうになってしまった。
あんた、注射を怖がるような年齢ですか?
とはいっても、痛いから注射を打ちたくないという考えは理解できなくもない。
普段の生活で注射を打つ(厳密に言えば「打たれる」)機会はそう多くはないだろうから、注射の痛みに慣れるのは難しいだろう。
かくいう私も、最後に注射を打ったのはおよそ5年前である。
その時のきっかけは会社の健康診断を受けたことだった。
健康診断事体では注射を打たなかったものの、尿検査の結果で気になる箇所があったため、後日、地元の病院で再度詳しい検査を受けることになり、血液検査のために注射を打つことになった。
その時は特に注射が痛いとか、怖いとは感じなかった。
実は、その半年前まで、持病の治療のために3年ほどの間、1ヶ月に一度のペースで通院し、採血のために注射を打っていたため、多少は慣れていたのである。
・健康診断にビビりまくる
だが、私が注射を恐れなかった理由は「最初は痛かったものの、数をこなすこで、痛みに慣れたから」ではない。
注射嫌いを克服するきっかけは、病気にかかる半年前に、会社の健康診断を受けることになったことから始まった。
その健康診断は、先ほどの会社のような簡単な検査とは異なり、血液検査も行われることになった。
その手段は当然、注射である。
その時点で私が注射を打つのは、急病で点滴を打つような緊急時を除けば、小学生の時の予防接種以来である。
私は注射を打つことが不安で仕方なかった。
多くの人がそうであるように、私も注射が大嫌いだった。
たとえ、インフルエンザが流行した季節でも、予防接種を打ったことは一度もないし、何のワクチンかは憶えていないが、中学生の時に希望者全員に無料で予防接種が受けられた時も、多くの同級生を尻目に接種を拒否した。
そんな生き方をしていたため、検査を受ける日の一週間前から緊張で頭がおかしくなりそうだった。
その不安を少しでも解消すべく、注射が痛くなくなる方法をネットで調べまくった。
・注射が死ぬほど痛いのは赤ちゃんだけ
私が欲しかった情報は「注射を打たれても痛くなくなる裏技」である。
たとえば、「打つ直前に体の一部をつねる」とか、「口を閉じて、鼻でのみ呼吸をすれば痛みを感じなくなる」というような。
実際に痛みを緩和できるかどうかはともかく、心のお守り程度にはなるだろうと思っていた。
だが、そのような小細工など一切必要なくなる情報を掴んだ。
2021年の現在でも放送されている「所さんの目がテン!」という番組がある。
かつて、同番組で「注射で痛みを感じる理由」を特集したことがあった。
こちらが、その番組のアーカイブ記事である。
その記事によると、実は「注射は針が細いため、そんなに痛みを感じることはない」とのこと。
注射を打つ時の痛みは、せいぜい、ボールペンで押された時の痛みよりすこし強い程度。
それではなぜ、我々は注射を恐れるのだろうか?
その理由は赤ん坊の時の記憶にある。
赤ちゃんの頃は、皮膚の痛点の間隔が狭く、注射を打つと、当たる痛点の数が多い。
そのため、大人より痛いと感じると言われている。
そのような状態は成長すると解消されるが、注射器を見ると、当時の恐怖の記憶がよみがえり、痛みも感じてしまうらしい。
番組が行った実験では、子どもに脳の動きを測定する装置を取り付けて、(注射と同程度の痛みである)ボールペンの先を強く押し当ててみても、前頭前野はそこまで大きく反応しなかった。
しかし、注射器が登場すると、まだ刺してもいないのに、前頭前野が活発に反応した。
逆に、注射が痛くて、病院で泣いたことがある4人の子どもに、注射を打つことを伝えず、目隠しをして、注射を打ったところ全員が泣かなかったそうである。
・打たれている瞬間は絶対に見ない
この話を聞いた私は半信半疑だったものの、少し安心した。
番組で紹介されていた説が正しいかどうかは、自分が身を持って経験するまでは分からないが、当日は「注射は痛くないものである」と自分に言い聞かせ、打たれている様子を絶対に見ないよう心掛けた。
すると、刺される瞬間はチクッとするものの、「痛くて痛くて堪らない!!」と言いながら涙を流す程のものではなかった。
巷でよく言われる「抜く時が痛い」とも感じなかった。
でも、採血だから、予防注射よりも、針を刺す時間は長いため、心の中で「早く終わってくれ!!」と叫び続けていたことは内緒である。
この時の体験から、「注射はそんなに痛くない」と思えるようになった。
その結果、後に病気を患って1ヶ月に一度、注射を打つことになっても、そこまで苦痛にはならなかった。
むしろ、採血を終えてから診察までは、いつも3時間ほど待たされていたのだが、その間、待合室で殺気立った患者たちによって繰り広げられる地獄絵図の方がよっぽど苦痛だった。
というわけで、読者の皆さんも注射を打つ時は、打たれる瞬間も、看護師さんが注射器を準備されている様子も、絶対に見ないことをおすすめする。
ただし、露骨に強く目を瞑ると看護師さんを心配させてしまうので、視線を逸らす程度に留めておく方が無難である。