
前回の記事でも触れた通り、私は現在、転職活動中である。
今の職場は勤続年数3年という、私基準ではかなり長期となったが、これまでの私は数ヶ月で仕事を辞めることが多かった(笑)
それも、期間限定の仕事とは限らず、長期前提であっても…
というわけで、就業開始直後から、早くも「この仕事、辞めたい……」と思った経験は一度や二度ではない。
それでも、さすがにそう感じたらすぐにバックレたり、「まだ一週間だけど、どうしても無理なんです~」と早期退職した職場ばかりではない。
最近は派遣という契約期間の縛りがある仕事をすることが多いため、一応、2ヶ月~半年くらいは様子を見ている。
というわけで、今日はこれまでの経験を通して、就業開始早々「辞めたい」と感じながら、少し様子を見た結果、意外と続けられたことと、案の定続けられなかったことについて話をしたいと思う。
・大きそうに見えて、実はそこまで重大ではない?

就労早々仕事を辞めたくなる理由で、真っ先に思い浮かぶことが、「仕事が難しい」、「この仕事は思ったより大変だ…」といった仕事内容についてである。
最初から何でも出来る人はいない。
新しい仕事に慣れるまでには時間がかかる。
会社独自のルールも知らなければ、仕事で使うシステムや専門用語も分からない。
先輩に教えてもらっても、一度で全てを理解できるとは限らない。
理屈ではそう分かっていても、いざ「仕事が出来ない自分」に直面すると、自尊心が打ちのめされて、すぐにでも逃げ出したくなる。
また、人間関係も重要である。
パワハラとまでは行かなくても、ただでさえ、分からないことだらけで不安な中で、助けてくれるどころか、いかにも迷惑という態度を取られたり、嫌味を言われたら、とてもではないが、安心して一緒に働く気持ちにはならないだろう。
こうした人間関係も、仕事内容と同じく、早期退職へ駆り立てる重大事項のような扱われ方をされている。
だが、個人的な話をすると、これらは必ずしも、早期退職の要因とはならない。
最初は技術的にも、体力的にも「自分には無理…」と思う仕事でも、毎日のように続けていけば、少しずつ仕事を覚えていく。
最初は何度教えられても理解出来なかったことも、数を重ねれば徐々に分かるようになる。
それは人間関係も同じである。
最初は少し怖かったり、悪態を付いているように感じる上司や同僚も、こちらが仕事を覚えたり、日々の業務に一生懸命取り組む姿を見たら、仲間として受け入れてくれて、関係が良くなることもある。
両者について共通していることは、「時間の経過によって状況が変わる可能性が十分にある」ことである。
もちろん、パワハラなどの明確な問題がある場合は別だが、単に「まだ職場に馴染めない」という程度なら、それだけを理由に退職するのは、あまり賢明とは言えない。
もっとも、「変化する」というのは必ずしも良いことばかりではなく、最初は優しかった人が徐々に本性を表したり、こちらに余裕が出てきたことで、次々と面倒な仕事を押し付けたりと悪い方へ変わる可能性も大いにあるのだが…
・これは自分の努力では変えられない

早期退職のイメージで語られがちな「仕事内容が難しい」、「人間関係が悪い」といったことは、必ずしも「どうせろくでもない職場だから、すぐに辞めるべき」というサインとは言えない。
一方で、他人から見れば「え!! そんなことで辞めるの?」と言いたくなるような些細な不満の方が、実は早期離職の原因となることもある。
それは、「今後、変わる可能性がほとんどない苦痛」である。
その代表が通勤である。
例えば、片道1時間半かけて満員電車で通勤する仕事に就いたとする。
入社前は「まあ、通勤くらい何とかなるだろう」と思っていたものの、実際に毎日経験してみると想像以上に疲れる。
混雑情報は鉄道会社や乗り換え案内アプリが提供する情報である程度入手できるが、個人的には、あれらの情報はかなり控えめに言っているように感じる。
また、乗り降り時にホームが狭く危険だったり、混雑でなかなか進めないといったことは、実際に経験するまで分からないことが多い。
しかも、仕事を覚えたからといって通勤時間が短くなるわけではない。
半年後に仕事が完璧にできるようになっても、朝になればまた満員電車に乗らなければならない。
「そのうち慣れる」と言われても、慣れることと問題が解決することは違う。
毎朝の満員電車に慣れることはできても、片道1時間半という事実も、全く変わらない。
同じことは、職場の設備にも言える。
たとえば「職場のトイレが少ない」という問題があったとする。
他人からすれば、「そんなことで仕事を辞める人なんて居ないでしょう!?」と呆れるかもしれない。
しかし、勤務時間中に何度も利用する場所であり、その影響は想像以上に大きい。
いつも混雑していたり、休憩時間にゆっくり利用できなかったりすれば、本人にとっては毎日の小さなストレスになる。
しかも、仕事を覚えたからといってトイレが増えるわけではない。
そして、通勤と同様に、個人の努力でも、仕事を続けることでも、解決できない。
「休憩中にゆっくりできない」という問題も同様である。
休憩室が狭かったり、一人になれる場所がないと、自席で休憩することになり、昼休みでも仕事から逃れられない。
そんな小さな不満でも、毎日必ず発生すると、積み重なることで決して小さくない負担になる。
・企業側の対策も全く通じない

ここで重要なのは、「その不満が重大か些細か」ではないと思う。
「仕事や人間関係が大変」と「通勤、社内のトイレ、休憩時間が大変」の両者は比較した場合、ほとんどの人が前者の方が早期退職に繋がりやすいと考えるだろう。
ところが、仕事内容や人間関係は努力や時の流れと共に変わる可能性があり、今の苦痛がいつまでも続くとは限らない。
最初は仕事が遅くても、仕事を覚えれば周囲から注意されることが減るかもしれない。
分からないことだらけだった新人時代を抜ければ、人間関係にも余裕が生まれる。
しかし、通勤時間や電車の混雑、トイレの数、休憩室の広さなどは、自分が努力したところで変えられない。
会社が移転する、トイレを増設する、休憩室を改装する、といったことが起これば劇的に変わるだろうが、自分の勤め先でそんなことが起きる確率はかなり低いだろうし、「それを希望に仕事を続けろ」と訴えるのは酷である。
だからこそ、就職直後に「この仕事、無理かもしれない」と思って退職するのは本人の中では至って合理的な理由だったりする。
若者をはじめ、「最近の労働者はすぐに仕事を辞める」と言われるようになって、久しい。
その状況を嘆くだけでなく、当然、「少しでも離職者を減らしたい」と思って、改善に努めている会社も少なくないだろう。
そんな時に真っ先に思い付くことが
「最初から完璧を求めず、時間をかけてゆっくり仕事を覚えてもらおう」
「萎縮しないように優しく接しよう」
という考えである。
そのような方針は否定しないし、私も新しい職場で働くことになったら、そんな会社である方が有難い。
ところが、残念ながら、このような会社の努力とは違う次元で、労働者の退職への意思は固まっていることもある。
もちろん、だからと言って、簡単に「それじゃあ、オフィスを移転したり、職場のトイレを増設しよう!!」とはならないだろう。
だが、「自分たちが離職を防ぐために努力しても、労働者はそれとは別の次元で退職を考えていることもある」という点は、労務管理をする人にとっては知っておいて損はないと思う。











