やっぱり契約社員として働くことにはデメリットしか感じない

前回の記事の冒頭でも少し触れたが、現在の私は求職活動をしており、派遣会社から仕事紹介の連絡が入ることが多い。

そこで案内された仕事から今日のテーマが思い浮かんだ。

・随分とナメられたもんだ

私が派遣会社から紹介された仕事は通常の派遣とは異なり、採用されればすぐに紹介先の企業の契約社員として契約する「紹介予定派遣」であり、業務の大まかな内容は以下のとおりである。

・某大手物流企業に駐在し、企業宛に送られてくる荷物や郵便物の仕分けと配達

・社員が発送する荷物と郵便物の出荷作業

・会社の代表アドレスへ届いたメールの応対

・海外支社からの問い合わせ対応

・室内の消毒やゴミの回収などの庶務業務

業務内容の説明が終わると、担当者は次のようなことを補足した。

「新たに立ち上げられるプロジェクトなので臨機応変に対応できて、複数の業務の優先順位を考えながら同時進行することができ、責任感を持って働かれる方を探しております」

それはなかなか大変そうである。

さて、そんな仕事の気になるお時給は・・・

1450円である。

それを聞いた私は、一瞬考えが追いつかなかった。

仕事の内容はともかく、こんな金額の仕事を紹介されるとは、私もナメられたものである。

今時、東京で派遣社員としてオフィスワークの職に就けば、未経験者であっても、そんな金額で働くことなどないだろう。

もし、そんな時給で働くことになれば、日雇い派遣の時以来の低水準であり、今の時給からは200円以上ダウンしてしまう。

そして、年末には源泉徴収票を眺めながら、何年か前に流行したネット広告のキャッチフレーズを呟くことになるだろう。

「うわっ…私の年収、低すぎ…?」

これは大きな屈辱である。

もちろん、こんな仕事は適当な理由をつけてすぐに断った。

・正社員とアルバイトのマイナス面の融合

前段で触れた通り、今の東京で派遣社員として働けば、まともな会社なら「時給1450円で人を雇おう」などとは考えないだろう。

彼らがそのような金額を提示したのは、雇用形態が派遣ではなく「契約社員」であるからだと思われる。

正式な世論調査を見たわけではないが、この社会では

契約社員>派遣社員

という意識を持っている人が多い気がする。

契約社員は曲がりにも直接雇用であるため、企業の福利厚生の恩恵にも恵まれ、雇用も安定している。

だから、契約社員登用の話があれば、好き好んで派遣社員など続ける理由などどこにもないと。

だが、私はそう思わない。

意外に思われるかもしれないが、同じ職場で働く場合は、派遣社員よりも、契約社員の給料の方が低いことは珍しくない。

その理由は派遣社員として人を雇う時は市場の原理が作用するため、雇い手が自由に価格を設定することはできず、市場価格を無視した金額でオーダーを出したとしても、派遣会社が取り合ってくれない。

裏を返せば、「契約社員は直接雇用であるがゆえに、企業から労働力を不当に安く買い叩かれている」と言える。

そのため、先ほどのように「時給1450円でも働いてくれるだろう」というクソ甘ったれた考えが出てくるのである。

私が契約社員として働きたくないと思う理由は給料だけではない。

このブログでも3年前に、契約社員についての私見を紹介したことがある。

その時の内容を簡単におさらいしよう。

私はかつて、アルバイトで働いていた時や、派遣先の職場見学へ行った際に、現場を取り仕切っている部門長から「頑張れば契約社員へ切り替わることもある」と発破をかけられたことがあった。

彼らは得意げな顔で「こいつ(=私)は契約社員になりたいはず」という前提で話をしていたが、私は「契約社員になりたい!」などと全く思っていなかった。

なぜなら、当時の私はこれまで共に働いてきた人たちの姿から「契約社員」に対して以下のようなイメージを抱いていたからである。

・正社員と同じく基幹的な仕事を任され、相応の責任を負わされる。

・企業主催の祭事やしつこい行事にも強制的に参加させられる。

・企業都合による残業や転勤も受け入れなくてはならない。

・一方で、給料形態は正社員コースとは完全に別れている。

・契約期間が満了したら、企業都合での雇い止めも当然のように行われる。

いわば、「責任は重いが給料が高く、保障も充実している正社員モデル」と、「給料が低く、保障もないが責任は軽いパート・アルバイトモデル」のマイナス面のみが合わさった働き方である。

言い方は悪いのだが、彼らは「スーツを着たフリーター」という認識だった。

その上、派遣社員よりも給料が低いとなると、はっきり言って、私には「契約社員という働き方のメリット」が全く理解できない。

そのため、今回案内された仕事のように「時給:1450円」という金額に限らず、契約社員として働くことには少なからず抵抗がある。

・元同僚への同情

このように契約社員として働くことに抵抗がある私だが、実は先の記事を書いた後に、一度だけ契約社員として働いたことがある。

それは派遣会社が20人ほど大量募集していた3ヶ月程の短期の仕事だった。

通常であれば、派遣社員は派遣先の職員から仕事の指示を出されるが、その仕事は派遣会社が事業ごと委託された仕事であり、指示を出す上司も派遣会社の職員だったため、名目上は「契約社員」となっていた。

とはいっても、それは就業先の指揮命令系統上の都合上、そのような呼び名になっていただけで、働き方は一般の派遣社員と変わりなかった。

仕事内容も上司に言われたことをやるだけの簡単な事務仕事で、平日5日勤務だったが自己都合での欠勤も気軽に申請できたし、残業も希望者のみだった。

ちなみに、こんな気楽な仕事であるにもかかわらず、時給は今回紹介された仕事よりも高かった。

このような経験もあったため、「ひょっとして、私は契約社員に対して食わず嫌いをしていたのかな…」と思っていたが、今回の一件を通して、「やっぱり契約社員という働き方にはデメリットしか感じない」と再認識した。

国は通常派遣にせよ、日雇い派遣にせよ、派遣という働き方について、年々規制を強化している。

しかし、私は正規と非正規の(企業にとって)いい所取りをして、「頑張れば正社員になれる」などという夢をぶら下げられて、やりがいを搾取されている契約社員こそ規制すべきだと思っている。

少なくとも、私はそんな虫のいい働かせ方をされることは死んでも御免である。

今回の一件を通して、私は過去に同じ職場で働いた契約社員のことを思い出した。

それは、上京して最初に働いた職場の上司であるB(仮名)という人物である。

彼は他の記事にも何度か登場してきたことがある。

このブログでは、これまで彼の嫌な面ばかりを取り上げてきた。

しかし、彼は契約社員という立場でありながら、元の職場から40km程も遠い場所へ転勤させられた上、正社員と同等(というよりも、正社員より多い気がした)の遅番のシフトに入らされていたため、自宅に帰り着くのは23時を過ぎることがしょっちゅうだったという苦労人の一面もある。

しかも、仕事内容も正社員と同じく、発注や在庫管理、クレーム対応、派遣社員である私の勤怠の承認なども担っていた。

その上、他の社員が同情する程の薄給との話も聞いたため、時給も派遣社員の私(時給:1300円)よりも低かったのかもしれない。

今回、契約社員という働き方の低待遇について改めて実感したことで、「あの時の彼もこんなに大変だったんだな」と再認識して、私も彼に少しだけ同情するようになった。

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