
前回の記事のテーマは「帰省中に迷惑な客に遭遇したという話は、なぜかいつも新幹線が舞台となっている」だった。
結論としては「『本当に新幹線は迷惑客の巣窟なのか?』は不明」であり、「トラブルに巻き込まれないために、絶対に新幹線は利用しない方が良い」とは言えない。
だが、私の経験から「絶対にこの帰省方法だけは避けた方が良い」と言えるものがある。
今日はその話をしたい。
・混雑を離れ、のんびりとした旅をイメージする

結論から言わせてもらう。
数多くの交通手段から「絶対にこれだけは止めた方が良い」と言えるもの。
それは…
青春18きっぷを使用した普通列車による帰省である。
(※:特別料金不要の快速列車も含む)
記事のタイトルに書いているからバレバレか…(笑)
上京以来、私は飛行機で帰省していた。
しかし、2年前にこちらの記事で取り上げたように、飛行機での帰省に不安を感じるようになった。
それ以降、別の交通手段を模索していたのだが、そこで思い付いたのが青春18きっぷである。
青春18きっぷとは、JRの普通列車が乗り放題になる切符で、2024年の冬からは有効期限が連続する3日、または5日間使用可能となっているが、私が利用した当時は連続使用の制限はなく、シーズン中に5回、または5名で使用可能なルールだった。
ちなみに切符の料金は12,050円だった。
私の実家がある西日本の田舎までは、東京からではどう頑張っても1日で到達することは出来ないので、途中で宿泊する必要があるものの、宿代を考慮しても、繁忙期の飛行機や新幹線の料金より安価だった。
また、飛行機や新幹線を利用した場合は、空港や新幹線の駅から自宅、実家までの交通費は別途必要となり、都内の自宅はともかく、田舎にある実家との往復にはそれなりの出費となっていた。
18きっぷはJRの普通列車乗り放題のため、その費用が浮くことも大きな魅力だった。
それに安いだけでなく、帰省ラッシュの混雑とは離れた世界で、普段は行くことがない路線をのんびり巡る旅に魅力を感じた。
毎年、夏休みや冬休みの季節はJRの駅に田舎や海辺を舞台にして、胸に響くキャッチコピーが書かれているポスターが貼られている。
そんな旅を体験したくなった。
・モンスターのオンパレード

このような期待に胸を膨らませながら青春18きっぷを手にして帰省したのだが、その安さや長旅の裏には、想像以上にストレスの多い現実があった。
東京近郊は10両編成以上が当たり前で、早朝に出発したこともあり、快適に過ごすことが出来たのだが、首都圏を離れてからは電車が3~6両と短編成となったこともあり、一気に混雑が激しくなった。
私は幸い何時間も立ったままということはなかったが、これでは、混雑を避けるために普通列車を選ぶ意味がない。
だが、混雑によるストレスなどまだ遥かにマシな方だった。
一番の問題はモラルが低い客が圧倒的に多いことである。
その実例を紹介したい。
・①:走り回るクソガキを放置するバカ親
まず印象に残っているのは、車内で走り回る子どもをまったく注意しない親である。
途中駅で隣のホームへ接続列車が到着すると、女がイノシシのような勢いで飛び込んで、4人掛けのボックス席を確保、そこに夫と娘2人もやって来た。
思い返せば、その時点で車内に災いをもたらすモノノケとも呼ぶべき「ヤバい一家」のオーラが出ていた。
電車が出発すると娘2人がぬいぐるみを持って車内を駆け回ったり、吊革に掴まってうんていの真似事をするなど大騒ぎ。
にもかかわらず、親はスマホをいじったり、夫婦で談笑するなど知らん顔で放置。
過去の記事でも何度か取り上げたことがあるが、学校にクレームを入れる保護者ではなく、このようなバカ親こそ「モンスターペアレンツ」と呼ぶべきである。
しかも、この列車はワンマン運転で車掌がいないため、車掌に注意を依頼することも出来ない。
こんな車内に2時間近くも乗車しなくてはいけないことは拷問以外の何ものでもない。
幸い、途中駅で列車の増結を行ったため、私はそちらの車両へ移ることにした。
連結作業を行っている所を通りかかった時に、先程のバカ親が娘と一緒に写真を撮っていた。
おそらく、鉄道マニアの父親が自分の趣味に妻と娘を同行させたが、子どもは長旅に退屈して騒ぎ回っていたのだろう。
もはや、我が子への宗教の強制と同じであり、やっぱりバカ親である。
・②:公衆道徳の欠片もないクソジジイ
次に遭遇した迷惑客は高齢夫婦である。
こいつらは、走行中の車内でビールと唐揚げ弁当を広げて、宴会をしていた。
発車して間もなく、強烈な油とアルコールの臭いが漂い始めた。
私はお酒も唐揚げも嫌いである。
幸運にも、その車両は窓を開けることが出来たので、窓を開けた。
この時は夏だったが、田舎を走行していたこともあり、山の良い香りが入ってきて、何とか気分も回復した。
ところが、しばらくして先程の唐揚げビールジジイがこちらへやって来た。
その臭いだけでも吐き気を及ぼすのだが、私に向かって、何を言うでもなく、腕を下から上に何かを持ち上げるような仕草をする。
最初は何がしたいのか分からなかったが、こいつは私に「窓を閉めろ」と言いたかったのである。
車内の冷房の効きが悪くなると思っているのだろうが、原因が自分たちにあるとは微塵も考えていない様子だった。
それに加えて、それが人にモノを頼む態度なのか?
一体何様のつもりなんだろうか?
頭が白髪だらけになるほど年老いているというのに公衆道徳を弁えない迷惑なクソジジイだった。
ちなみに、このジジババも乗車時間が2時間を超えるローカル線を始発から終点まで乗り通していた客なので、18きっぷやそれと類似する格安切符を利用していたことはほぼ間違いない。
・③:迷惑ではなく犯罪
これだけでもすでにお腹いっぱいという感じもするが、迷惑を飛び越えて暴挙に出るバカもいた。
これは乗っていた列車が終着駅に近づいた時のこと。
乗り換え時間が3分しかないため、到着前から出口に乗客の列ができた。
私もその列に並んでいたのだが、立っていた通路の右側のボックス席に座っていた高齢女性が立ち上がったため、私は彼女を通すために少し左に移動した。
ちょうど同じタイミングで今度は左側の席に座っていた中年の男と息子と思われる中学生くらいの少年も立ち上がり、オヤジが私に向かって「そこ退いてよ〜」と声をかけてきた。
しかし、通路は狭い上に、先程立ち上がった高齢女性は足腰が不安なのか、なかなか通過出来ず、私は彼女を避けるためにその場から動けずにいると、それを伝える間もなく、「だから、退いてよ!」と怒鳴りながら、私を突き飛ばして強引に突破した。
これはれっきとした暴行罪である。
私だけでなく高齢女性も危険に巻き込むところだった。
ちなみに息子も、バカオヤジの無礼を詫びるわけでもなく、私を完全に無視して通り過ぎた。
私がこの親子を目撃したのはこの時だけだったが、小荷物でも、スーツでもない大きなリュックを背負っていたことから、こいつらも地元民や飛行機や新幹線を利用していた帰省客でもなく、18きっぷの利用者だろう。
・被害を受けても泣き寝入りせざるを得ない構造

18きっぷの旅では、うるさい・臭いだけに留まらず、いかに危険な同業者に遭遇することがお分かりいただけたと思う。
自分で書いていてイライラしてきた。
しかし、18きっぷの道中でこのようなバカ共と出くわすことは、普段の通勤通学や他の交通手段を用いた場合とは、少々違った壁に直面することになる。
それは、こうした理不尽な場面に遭遇しても、泣き寝入りせざるを得ない可能性が圧倒的に高いことである。
普通列車を何本も乗り継ぐ旅では、前段の①と③でも少し触れたように、途中で乗り換え時間がわすか数分ということもある。
というわけで、駅員や警察に被害を訴えたり、マナーが悪い客を注意してトラブルが発生して列車が遅れたら、乗り換えに失敗してしまう恐れがある。
都心部であれば、10分程度で次の列車が来るが、田舎では次の列車は2時間後ということも珍しくない。
そのため、乗り換え失敗による行程の崩壊という最悪な自体を避けるために、迷惑客による被害を受けても耐えるしかない。
さらに、18きっぷには遅延やトラブル時の補償もなく、たとえ自分が被害者であっても、「遅れたので新幹線や特急列車に便宜乗車させてください」というわけにもいかない。
あくまで噂であるが、大学入学共通テスト(旧センター試験)の日の朝は受験生と思われる女子高生が痴漢の被害に遭いやすいという話を聞いたことがある。
現行犯で被害を訴えると試験開始時刻に遅れてしまうリスクがあるため、被害に遭っても泣き寝入りせざるを得ないという心理に付け込んだ卑劣な犯行である。
同じように、18きっぷの旅も理不尽な目に遭っても「自分が我慢するしかない」構造が出来上がっているのだ。
もしかしたら、普段から鬱屈した気持ちを抱えており、「通りすがりの誰でもいいから、八つ当たりしたい」という危険な欲望に駆られている人間は、18きっぷの利用者を狙った犯行を計画しているかもしれない。
まあ、今回は利用者が全員加害者の側だったわけだが…
安さの代わりに手に入るのは、自由や風情だけではなく、モラルの低下と不条理への忍耐力かもしれない。
青春18きっぷは、確かに財布には優しいが、心の平穏まで保証してくれるわけではない。
私と同じ経験をしたくない方は、今からでも遅くないので別の交通手段を利用することをお勧めする。
・「迷惑鉄オタ=非モテ・ぼっち」説は的外れ

今回遭遇した迷惑客たちには2つの共通点があった。
ひとつは青春18きっぷを利用していた可能性が高いこと。
貧乏学生とは思えないので、こうした旅を選択するということは電車が好きなのだろう。
そして、もう一つは全員家族と思われる連れが居たこと。
「鉄道マニア(オタク)」と聞くと、根暗で、非モテで、コミュニケーション能力が低く(コミュ障)、所構わずカメラを向けて、友達が一人もいない社会不適合者で、一生独身という負のイメージをこれでもかと関連付けて、「そのような社会の底辺が他の利用者に迷惑をかけている」と断言する人も少なくない。
だが、今回の経験を通して分かったことがある。
非モテで独りぼっちの鉄オタの方がよっぽどマシである。
一人では大人しい(何もできない)けど、仲間と群れることで気が大きくなるのか、同じ鉄道オタクでも、家族連れの方がよっぽど凶悪だった。
もう6年も前のことだが、この記事に書いた通り、詐欺師はスーツのように身なりを整えて活動していることが多く、外見だけでは判断できないことが多い。
凶悪鉄オタも似たようなものである。
チェック柄のシャツを着て、ぼさぼさ頭で、眼鏡をかけて、弱々しい体つきで、いかにも「オタク」という外見の人よりも、一見すると「普通の家族連れ」のような人物の中にこそ要警戒のモンスターが潜んでいるのかもしれない。









