最近のネット空間では有益な情報よりも怪しいサイトが幅を利かせていると感じる

※:お願い

今回の記事は性的な表現が含まれます。

ご了承の上でお読みください。

2年ほど前からインターネットを使っていると、強い違和感を覚えることが増えた。

それはSNSの炎上や誹謗中傷といった分かりやすい問題ではなく、もっと根本的な所での話である。

私が日々感じているモヤモヤした気持ちを一言で表すと…

探している情報はそれじゃない!!

こうした違和感に留まらず、明らかに「これは問題では…」と感じる場面が多々あるのだ。

・検索結果の上位に表示されるページが変わった

20243から複数回に渡ってGoogleの検索アルゴリズムアップデートが行われた。

その結果、検索エンジンに表示される内容は、それまでとは明らかに異なる様相を呈している。

まずは202434にかけて非常に大きなコアアップデートスパムポリシー更新が行われ、「低品質・独自性のないコンテンツを大幅に削減(Google 推定で最大 45%)」という

具体的にはAI や自動生成された量産コンテンツ (scaled content abuse)をターゲットにしていた。

同年の89月、翌20253月にもアップデートを実施。

表向きの説明では、

・低品質なコンテンツの排除

・スパムや詐欺サイトの抑制

・ユーザーにとって有益な情報の優先

といった、誰もが賛成しそうな目的が掲げられている。

しかし、実際に検索を使ってみると、「本当にこれは良い方向への変化なのだろうか?」と首を傾げたくなる場面が少なくない。

一連のアルゴリズム変更の大きな特徴は「権威性」「公式性」「商用性」をこれまで以上に重視するようになった点にある。

その結果、企業のオフィシャルサイトや販売・サービス提供を目的としたビジネスサイトが、検索結果の上位を占めて、個人が運営するブログや小規模サイトの多くは「オリジナリティが薄い」、「E-E-A-T(専門性・経験・権威性・信頼性)が弱い」と判断されたのかページの上位から姿を消した。

一見すると、これは「信頼性の向上」のようにも見える。

だが、その裏で何が起きているのかを見ていくと、問題はそう単純ではない。

何を隠そうこのブログも20243月以降、PV数が大きく低下したので、「その恨みは一切ない」と言えばウソになる。

とはいえ、そうした私怨を抜きにしても、一連のアルゴリズムのアップデートの悪影響が出ていると感じることが多々ある。

公式やビジネスの情報は「無難」ではあっても、必ずしも「実態」や「注意点」や「裏側」を伝えてくれるわけではない。

加えて、個人が長年積み重ねてきた知見、体験談、批評、警鐘などのが検索結果から静かに姿を消して、何の役にも立たないどころか、思いもよらない怪しいサイトが堂々と検索結果の上位に表示されている

以下、私自身が実際に体験した二つの例を挙げたい。

・愛用者の声よりも詐欺サイトを優遇

過去にこちらの記事で触れた通り、私は長年、模型やプラモデル作りを趣味としている。

まだ中学生だった20ほど前から「○○(メーカー名) ××(製品名)」というワードで検索するのが習慣だった。

以前であれば、検索結果の先頭にはメーカー公式サイトが表示され、その下には販売サイトに混ざって、個人が運営するブログやサイトが多く表示されていた

そこには、実際にその商品を購入した人の感想組み立ての工程加工や改造の工夫完成後の写真といった情報が豊富に載っており、非常に参考になった。

たとえ、商業的な価値はなくても、個人の主観による手作り感満載の記事でも、見ているだけでも楽しく、「次はこう作ってみよう」と創作意欲を刺激される空間だった。

今思うと、あの頃は牧歌的で幸せな時代だった。

ところが最近同じ条件で検索をしてみると様子がまるで違う。

先頭が公式サイトなのは変わらないが、その後に続く上位20件程はほぼ例外なく販売サイトのページばかりである。

しかも、それらの多くはすでに売り切れている。

ホビーサーチのように、独自撮影したと思われる商品や付属品などの画像を多く掲載して、たとえ購入できなくても、役に立つ情報を十分与えてくれるサイトも存在するが、ほとんどは画像も文章もメーカーの公式サイトをそのまま転載しただけ独自のレビューないといったものばかりだ。

正直、情報としての価値はほとんどない。

それどころか、「これは明らかに詐欺サイトだろ!!」と感じる怪しいページが、何食わぬ顔で検索上位に表示されていることすらある。

たとえば、10年以上前に生産された製品であるにもかかわらず、5件の購入レビューの投稿日がすべて直近一週間だったり、模型なのに評価する声の内容が、

「この商品を購入したことで、毎日のストレスを感じることがなくなりました」

「夫婦で楽しい生活を送れるようになりました」

など明らかに「別の商品向けのテンプレだろ!?」と突っ込み所満載である。

普段から買い慣れている人であればすぐに気付くだろうが、自分のためではなく、家族や友達へ密かにプレゼントしよう計画していた人なら、もしかしたら騙されてしまう可能性も否めない。

役に立つ個人ブログは必死に探さなければ見つからない場所へ追いやり、こんな詐欺サイトを上位に表示させるGoogleは一体何を考えているのか?

Googleは検索ワードから、検索の意図を「知りたい(Information)」、「買いたい(Transactional」、「行きたい/使いたい(Local / Navigational)」と分類するようだが、私がやっていたメーカー名と製品名が含まれた検索ワードをほぼ強制的に 「買いたい意図」だと解釈する傾向が強まっているのだという。

そして、何よりも、商用サイトSEO資源で強くなり過ぎて、個人ブログが太刀打ちできない

ECサイトは被リンク数が膨大で、ドメインパワーが巨大更新頻度も高い構造化データも豊富価格データを自動で更新Google の評価軸のほとんどを満たしてい

一方で個人ブログは、どれだけ内容が良くても、Google にとって弱いドメイン扱いに留まる

私がかつて多くの夢を見せてもらったブログは、どれだけが価値がある内容でも「ドメインの強さ」の前では検索上位に来にくい。

なお、詐欺サイトは被リンク獲得、クローラー対策などの「SEOポイズニング」と呼ばれる手法で、検索エンジンのアルゴリズムSEO対策を悪用することで検索結果の上位へ食い込んでいるのだという。

こちらに至っては、役に立たないどころか有害である。

・ド変態の群れに掻き消される大人の冷静な指摘

検索結果の劣化が顕著になっているもうひとつの実例がある。

きっかけは忘れたが、2年くらい前に「処女卒業サポート」というサービスがあることを知った。

性交経験がない女性向けに「安心」、「痛くない」、「あなたのロストバージンを優しくサポート」などと謳って、性行為を行うサービスである。

この存在を知った時は嫌悪感を持ったことに加えて、「本当にそんなのあるの?」と半信半疑だったため、「処女卒業サポート」と検索してみた。

すると、検索結果の上位は業者だけでなく、このサービスに意見を述べる個人ブログやまとめサイトが多く表示された。

それらを読んでいると、多くの人が私と同じく嫌悪感と軽蔑の声を表明しており、「ヤバい」、「キモい」といった感情論だけでなく、業者の多くが「女性のため」と称しながら所々で自分の性欲を満たすだけであることを隠せず、性の知識がない女性を食い物にする怪しくて危険なサービスだと警告していた。

たとえば…

  • 「避妊具を付けたら摩擦で痛くて出血するから、初体験では付けない方が良い」、「コンドームよりもピルの方が避妊率が高いから必ずピルを服用してください」といった文言を掲載しており、避妊具なしで性行為をやる気満々。

  • 未経験者を対象としたサービスのはずなのに、「処女卒業後も定期的に楽しいデートとセックスを提供」と宣言する。(=最初からセフレを探すことが目的だろ)

  • Twitterで過去の発言を辿ると、元々はパパ活やっていたけど、お金払いたくないから処女卒業に切り替えていた。(しかも、パパ活時は「ブスは10秒で解散」、「写真詐欺は容赦なく晒す」などと女性蔑視発言をプロフィールに記載)

私が心配することではないが、性交経験がないことにコンプレックスを感じている女性がこんなサービスについて検索しても、こうしたサイトが上位に表示されれば、「やっぱりこれは怪しいな…」と危険を察知して手を出す可能性も低いだろうと安心した。

ところが、現在このワードで検索すると、上位10件は下記の集英社オンラインの実録ルポを除いて、すべて業者サイトやXが独占しており、このサービスがいかに怪しくて危険であるかという声が全く出て来ない。

【実録ルポ】女性の“はじめて”をサポートする裏垢男子が急増中! 彼らの正体と本当の目的とは? 女性記者が実際に会ってみた | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛み砕け

むしろ、健全で社会に当たり前のように存在するもののような雰囲気にすらなっている。

性の知識がない女性の多くが、これを見たら軽い気持ちで「じゃあ、受けてみようかな~」と気軽に手を出してしまうのも時間の問題だと思われる。

この2年で需要が急増したり、業界が急速に健全化した可能性も0ではないだろうが、これは明らかにGoogleのアルゴリズムのアップデートによる弊害であると言えるだろう。

こんなお下劣で性犯罪につながりそうなサイトを堂々と上位に表示させるGoogleは一体何を考えているのか?

批判的な個人の声や警告が検索結果から消え、当事者である業者の発信だけが前面に出る。

これは「情報の整理」ではなく、多様な視点の排除であり、場合によっては危険性の増幅ですらある。

ネットは本当に安全になったのか

インターネットは黎明期から、発信者の顔が見えないが故の情報の不正確さと並んで、悪意を持った人間による危険性が繰り返し指摘されてきた。

今でも、匿名性を隠れ蓑として、有名人を対象にした誹謗中傷が度々問題になっている。

ネット社会の発達はそうした危険性やフェイクニュースとの戦いの歴史でもある。

最近は悪質な書き込みやデマの拡散による名誉棄損、脅迫、業務妨害などに対して、積極的に発信者の情報開示が行われるなど、より安全の方へ変化しているように思える。

一連のGoogleのアルゴリズムのアップデートもそうした流れを汲んでいるのだろう。

ところが、その結果、ネット空間は本当に安全となったのか?

低品質なコンテンツの排除」、「より信頼性が高いビジネスサイトを評価」などもっともらしい理屈を並べ立てているものの、多様な意見や、批判や警鐘を発する声が失われ、ビジネスとして声が大きい者、都合の良い情報を出す者だけが目立つようになった

一見すると検索結果が「きれい」になったようにも感じるが、昔よりもずっと見えにくい形で、危険が潜んでいる

そんな気がしてならない。

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