戦争が始まって以来、ロシア人とのやり取りで感じたこと

およそ2年前、特に親しい仲ではないが3年以上連絡を取り合っている中年男性の話をした。

その一人は50代のロシア人男性である。

彼とは今でも1ヶ月に1,2通のメールのやり取りを続けている。

だが、今年に入ってからは、それまでと同じ気分ではいられなくなってしまった。

その理由とは…

・今はまだ大丈夫だが…

彼と出会ったのは2016年の8月で、途中で半年ほどの中断があったものの、もう5年以上やり取りをしている。

彼から送られてくる内容は彼が好きな日本の文化、家族のこと、旅行へ出かけた時のことなどのたわいない話がほとんどである。

そんな退屈であるが、平和なやり取りは今年に入って一変した。

原因は紛れもなくロシアとウクライナの戦争である。

この記事に書いた通り、私にはウクライナ人の知り合いがいないため、もっぱらロシアサイドの話しか分からない。

だが、ウクライナ侵攻を支持しているロシア人など一人もいない。

もちろん、彼も戦争に反対しており、私に対してプーチンを罵倒するメッセージを度々(ここのところは毎回)送ってきている。

以前、中国人から「最近中国ではSNSの監視が強化され、海外の人との何気ないであっても、政権批判が発覚すれば処罰される恐れがある」という話をされたが、ロシアでは大丈夫なのだろうか?

また、彼はロシア国内の様子も伝えてくれる。

たとえば、政権批判活動や生活物資の値上がりなど。

1ヶ月前に送られてきた最後のメッセージを見る限りでは、現状ではまだ家族や親戚が戦争で命を落とすことはなく、息子の就職祝いとして家族旅行を楽しむくらいの余裕はあるらしい。

しかし、戦争が長引くにつれ、ますます経済が悪化したり、身近な人が徴兵され、戦場へ送り込まれる恐れは常にあるとのこと。

・私がやるべきこと

彼は私に対して、日常の中の楽しい出来事を手紙のような形で伝えてくれるが、私は多くの読者がご存じの通り、家族も友達もおらず、趣味がなく、休日の外出もほとんどしない退屈な人間である。

彼に限らず、私がする話といえば、ブログのネタになりそうな情報の裏取りを除くと、仕事や日常の些細なできごとくらい。

それも愚痴やこぼれ話がほとんど。

こんなメールを送ると大抵同じ反応をされる。

I’m sorry to hear that. (それは大変だったね)」

決して、同情されたくてそのような話をしているのではなく、ほぼほぼ自虐ネタとして行っているが、彼らは私を気遣ってくれてそのような返事をすることが多い。

もちろん、ロシア人の彼もそのように言ってくれる。

だが、私は彼からそのようなメッセージを受け取ると若干の後ろめたさがある。

(戦場ではないとはいえ)戦争の渦中にいる彼が日々感じる苦悩に比べたら、私の不満など屁みたいなものであり、彼に愚痴をこぼして、「それは大変だったね」と言われることは何とも恐れ多い。

逆に楽しい話題をしようものなら、「こんな話は不謹慎ではないだろうか…」と、これまた後ろめたい気持ちになってしまう。

そんな思いから、私は「彼も生活が大変だろうし、戦争が終わるまで、やり取りは避けた方がいいのでは…」と逃げ腰になっており、実際に1ヶ月以上返信しないこともあった。

その時は、「今は仕事で英語を使うことが多いんだけれど、仕事がハードでストレスを感じるから、英語から離れたくて、この(ペンパル)サイトにもアクセスしていなかった」と言い訳をしていた。

そんな私に対して、我は全文日本語のメッセージを送って来てくれた。

彼の心配りには感謝するが、同時に私はますます申し訳ない気持ちになった。

この人はこんなに一生懸命なのに自分は何をやっているんだろう…

それ以来、私はある考えに辿り着いた。

今の私がやるべきこと。

それは、「今までと同じように接すること」であると。

彼の気持ちは定かではないが、私が送る何気ないメールでも、戦争の影響でつらい生活を送っている彼の小さな力になるかもしれないから。

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