前回の記事では、当ブログの人気アイドル、マネージャーX氏が久しぶりに登場した。
彼は常連さんにとってはお馴染みの存在だが、最近になって、このブログを読み始めた方はこんなことを思ったかもしれない。
「何で、この人はこんなに打消し線(取り消し線)ばかり入れられているの?」
もちろん、これは笑いのネタにしているところも大いにあるが、私は彼に対して罵詈雑言を浴びせるよりも、打消し線を書くことにこだわりを持っている。
今日はその理由を紹介したい。
・別れの手紙
私が派遣社員として、マネージャーX氏の下で働いていた頃は、まだコロナが起こる前で、一つの部屋に「これでもか」という位、大勢集まって仕事をしていた。
私が所属していた部署は合計で10名。
他の部署でもお世話になった人が数名おり、退職日に彼(彼女)ら全員に挨拶をすることは不可能だと思った。
そのため、会えない人にも挨拶ができるよう前日までに手紙を書くことにした。
内容はほぼお礼の言葉であるが、マネージャーX氏に対しては恨みしかなく、感謝することなど何もなかった。
しかし、他の人へ感謝の言葉を綴る中、奴だけハブるのも(他の同僚の目にも)感じが悪いので、形式的ではあるが、書くことにした。
まあ、いろいろあったが、最後に綺麗な形で別れることができたら、それまでの所業も水に流すことができるだろう。
そんな複雑な想いも抱えて書き上げた手紙は、前日の夜に封筒に入れ、退勤直前に教育担当者へ渡すつもりだった。
・結局最後まで…
翌朝、私が出勤すると、部屋にはマネージャーX氏一人がいた。
私が出社するなり、彼、いや奴は「早川さん。ちょっと」と言って、私を呼び出した。
てっきり、早めに最終日の挨拶でもするつもりなのかと思ったが、奴は椅子に踏ん反り返り、不機嫌そうな口調で話を切り出した。
一瞬、意味不明だったが、すぐに心当たりが浮かんだ。
私がその職場で働き始めたのは月初めではなく、中途半端なタイミングだった。
多くの派遣会社では、このようなスタート日でも、初回の契約を月末までにして、次回以降を月初めにするよう調整するのだが、その会社はなぜか初回の契約満了日も、2度目の契約満了日も就業開始日を基準にした月の途中だった。
そのことは事前に聞かされていたため、特に不満も抵抗もなく、就業先の上司にもそのように伝えた。
だが、後に派遣会社から電話があり、「契約書を作る際に日付を1日間違えたため、退職日を1日延期して欲しい」と言われた。
それを聞いて、よくよく契約書を見ると、本当に契約終了日が1日遅れていた。
翌日、私は上司にそのことを報告した。
しかし、上司も、派遣会社もマネージャーX氏へ一切連絡をしていなかったため、奴は上司が訂正前に報告したであろう契約満了日が退職日だと思っていたようである。
そのため、退職日の前日に、IT担当者へ私がパソコンで使用していたIDやパスワードの抹消を申請しており、前日の退勤後に、私が翌日も出勤することを知ったらしい。
要するに、上司と派遣会社の怠慢なのだが、奴はそのことで私のことをネチネチと糾弾してきた。
前日の私の願いも虚しく、奴は最後までゲリ〇ソ野郎だった。
・復讐の再熱からの才能開花
このやり取りがあったため、私は前日の手紙に、建前とはいえ、マネージャーX氏への感謝の言葉を書いたことを後悔した。
「この日の未来を見通せていたのなら、手紙の中に奴への感謝なんか絶対に書かなかった!」
そう思った。
だが、あの手紙はまだ誰にも渡しておらず、私の手元にある。
ということは・・・
封筒から手紙を取り出して、奴へのメッセージの上にボールペンで打消し線を書けば、奴への当てつけになるのではないか…
そんなことを考えた。
しかし、開封してしまったら、その封筒が使えなくなってしまう。
しかも、封は糊(のり)でしっかりと閉じてしまったため、綺麗に開けて、再利用することも難しい。
残念だが、手紙を使って奴への復讐を果たすことはできなかった。
そんな悔しい思いで退職することになったのだが、ほどなくして、このブログで奴が登場する機会が現れた。
その記事がこちら。(※:投稿日ではこちらが先になっているが、奴の登場箇所は後に追加したため、初登場ではない)
その記事は、職場を去る2週間ほど前に同じ部署にいた私と同じ年齢のA子(仮名)という女性から食事に誘われて、そこで彼女の想いを打ち明けられることから始まる。
彼女はそれまで全く畑違いの仕事をしていて、私が来るまで同じ年齢の同僚もいなかったことから、孤独を感じていたようだが、その職場で働いていたのは良い人たちばかりだったので、私は彼女がそんな気持ちだったとは全く想像していなかった。
…という説明をしたのだが、自分で書いた「良い人たちばかり」という文言が気になった。
あんな腐れマネージャーがいるのに、「良い人たちばかりだった」というのは事実に反する。
だから、その前にはちゃんと「マネージャーX氏を除いて」と書かなくては。
そして、いよいよ投稿となった段階で閃いた。
奴に言及している箇所に打消し線を入れたら、文の強調になるし、あの時は実行できなかった復讐を果たせるのでは…
そんな想いから、奴は「良い人たちばかり」の対比として打消し線を入れた状態で初登場となった。
我ながら、これには大いに笑った。
あのクソ野郎にここまで笑わせてもらったのは初めてである。
同時に、私はあの男にとんでもないお笑いのポテンシャルがあることを気付いた。
「これまで、ひどい目に遭った代償として、奴には当ブログでお笑い要因として大いに利用させてもらおう」
そうして、奴の登場は常に打消し線とセットになることになったのである。
そんなマネージャーX氏であるが、すでに10回以上登場しているが、最近はすっかりご無沙汰だった。
今後の人生で奴と再会する機会などないことは確実であり、和解は永遠に実現しそうにない。
以前ほど頻繁に登場することはないにせよ、私はこれからもあの男を打ち消し線でコケにし続けるだろう。
そうすることで恨みが晴れるかどうかは別にして…
私の恨みは晴れなくても、彼にはこのブログのお笑い要員兼スーパーアイドルとしての役割を全うして頂くつもりである。