部長は良い人だが好きになれない理由とは

規模が大きい会社で非正規の仕事をしていると、役職付きの上司について、「名前は聞いたことがあるが、どんな人なのかは分からない」というケースが多いだろう。

私も最近まで、数ヶ月間、部長の名が入ったハンコを使用していたものの、彼がどんな人なのか全く知らなかったが、ついに対面を果たし、大いに驚いた。

今日はそんな話をしたい。

・たらい回しの末に出会った人物

先日、職場のプリンターが故障したため、修理が終わるまで、一時的に別の部署のプリンターを使用することになった。

ただでさえ、使い慣れておらずあたふたしていたが、よりによって、私が印刷したタイミングでインクが切れた。

いつも使っているプリンターであれば、インクの交換など造作もないことだが、そのプリンターは私たちが使っている機種と違う上、在庫の保管場所も異なる。

私はたまたま近くに座っている人に訊ねることにした。

しかし、彼女はまだその部署で働き始めて日が浅く、別の人を紹介された。

彼女に紹介された男性は多少の経験はあるようだが、彼曰く、先日在庫の保管場所が変わったらしく、一緒に移動作業を担当した社員を探すことになった。

ちなみに、彼らは同じ課で働いているようだが、チームが違うらしく、すぐには発見できなかった。

私たちがウロウロしている様子を気にした女性が声をかけてくれて、彼女によると、その担当者は今週に入り体調不良で欠勤しているらしい。

もう、どうすりゃいいんだ!!

そのように困り果てていると、一人の男性が声をかけた。

彼は私たちと一緒にインクが移動された可能性がある場所を片っ端から探してくれて、遂にインクを見つけ出すことができた。

彼は私に笑顔で言った。

「何か分からないことがあったら、またすぐに声をかけてくれ」

何とも頼もしい言葉である。

後に知ったことだが、彼は私が働くフロアの部長だったのである。

そんな立場でありながら、こんな雑用を手伝ってくれるなど、何と素晴らしい人物であろうか。

とここまで読んでくれた方は、このような人物の下で働く私がどんなに恵まれているかと思うかもしれない。

だが、私は部長が素晴らしい人物であることは認めるが、どうしても彼に心を開く気になれない。

「嫌い」なのではない。

「怖い」のだ。

・過去のトラウマ

私がそんなに良い人である部長を恐れている理由は、彼の顔立ちや何気ない仕草がある人物に似ているからである。

その人物とは・・・

3年前に働いていた職場の上司で、このブログですっかりお馴染みのマネージャーX氏である。

「お馴染み」と言いつつ、彼がこのブログに登場するのは久しぶりになる。

彼は初対面の時こそ、笑顔で私を迎えてくれたが、実際は神経質で、部下の行動は逐一証拠を残し、些細なこだわりを理解してもらえないと癇癪を起して、自分の非は決して認めない、陰湿で執念深く、他人の失敗を決して許容しない器が小さく偏狭な人物だった。

部長の外見がその男ととてもよく似ているのだ。(身長はオリジナルの方が20cm程低いようだが…)

1年間ブログに登場しなかったように、私の中ではすっかり過去の人となっていたおっさんだが、こうして、顔立ちや仕草が似ていて、なおかつ同じような役職の人物を見かけただけで、体が拒否反応を起こしてしまうほど、あの男の存在はまだ私の中に大きな影を落としているようである。

もっとも、今の部長は、「見た目が似ている」だけであって、中身まであの男と似通っているわけではない。

しかし、今の関係がいつまで続くのかは分からない不安がある。

言うても、マネージャーXだって、初対面の時はかなり爽やかで、温厚な人物だったし。1週間で化けの皮は剥がれたけど…)

もちろん、今の関係が今後も続く可能性だってある。

だが、もしもマネージャーXと出会わなければ、私もこんなに疑心暗鬼になることはなかっただろう。

この男のせいで、あらぬ疑いをかけてしまっているのなら、部長には本当に申し訳と思っている。

いじめや、パワハラ(セクハラも含む)では、よく被害者の後遺症やトラウマについて話を聞く。

過去にひどい目に遭った経験があると、他人を信じられなくなってしまい、愛情や優しさも素直に受け止めることができなくなる。

今の私もそんな感じなのだろうか…

それだけ、加害者であるマネージャーXの罪は重い。

今の仕事では部長と関わることはほとんどない。

もし、今度、彼と会うことになったら、それはどんな形になるだろうか…

それが、少し気がかりである。

次回へ続く

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