世の中には「それは正しいことですか?」と尋ねられたら、100人中99人は「ダメだ!!」と答えることであっても、一向に減る気配がないものがある。
それらは、時に「迷惑」で済むことであっても、場合によっては取り返しがつかない大事故につながることもある。
人はなぜそのような悪行をやめることができないのだろうか?
また、どうしたら彼らを止めることができるのだろうか?
というわけで、今日から数回に渡って、「それは間違っている!!」と分かっているにもかかわらず、やめられない危険行為と、私なりに考えたそれを止める方法を紹介する。
最初のテーマは「あおり運転」である。
・あおられる方が悪い?
あおり運転は昨今話題になることが多く、「そんなことをやったらダメだ!!」と誰もが知っているはずなのに、一向に減る気配がなさそう悪行の代表格とも言える。
ただ、これは別に最近に限ったことではないし、海外でも同様に問題となっている。
日本では昨年(2020年)6月に、これらの危険運転が厳罰化の対象となったが、これによってあおり運転は抑止されるのだろうか?
私個人の意見としては、厳罰化自体には賛成である。
あおり運転に限らず、他の危険運転、たとえば、一時不停止や、運転中の携帯電話の使用、速度制限を超える危険な追い越しのような道路交通法違反も同様に厳しく取り締まるべきである。
ただし、私は別に「悪いことをする奴はやっつけろ!!」という安易な厳罰化思想で言っているわけでも、小さな違反を見逃すとやがて大きな罪につながると信じられている「窓割れ理論」を支持して、そのように主張しているわけでもない。
以前、こんな話を聞いたことがある。
ドイツではあおり運転の研究対象となったドライバーの6割が「あくまでもきっかけは相手にあった」と考え、自身の行動の正当性を主張していたようである。(43-3-09.pdf (iatss.or.jp))
それを聞いたら、呆れる人も少なくないだろう。
ただ、本当にあおり運転を止めたいのであれば、彼らのことを「荒くれ者」だと非難する前に、彼らの考えにも耳を傾けてみよう。
「あおり運転を擁護するつもりはない」ということは大前提であるが、あおり運転の一部始終を撮影した動画を見ていると、「彼らの怒りも分からなくはない」と感じることがある。
たとえば、後に加害者となる車が交差点で左折する際に、歩行者の横断を待つために一時停止していたが、後に被害者となる対向車がそれを完全に無視して右折するために交差点に進入した事例があった。
その後、加害者は被害者の車の追い越した後、蛇行運転を繰り返し、急ブレーキをかけ、被害者の車を停止させた。
この事件は被害者のドライブレコーダーに記録されていた映像から、警察が加害者を逮捕するに至ったが、被害者がマスコミの取材に対して
と発言した姿を見て、私の中の加害者を見る目が変わった気がした。
その他にも、後続車が法定速度を明らかに上回るスピードで追い越そうとしたため、自身もスピードを上げて追い越しを妨害しようとして、後続車があわや対向車と衝突しそうになったケースなどがあった。
・あおり運転だけでなく、その原因も徹底的に取り締まるべき
これらはいずれもあおり運転の被害者が最初に交通ルールを破っている。
「危険運転によって報復する」という手段は間違っているにせよ、加害者の怒りも理解できなくはない。
そこで思うのだが、もしも、後の被害者が法を犯した時点で、警察が彼らを適切に処罰することができたのなら、後の加害者もあおり運転などという私的制裁に走ることなどなかったのではないか?
もちろん、急いでいる運転手が、前方をノロノロと走っている初心者や高齢者に対して、しつこくクラクションを鳴らし続けるといったケースは加害者に100%の非がある。
ただ、あおり運転によって発生した大事故の中には、加害者が「悪質な運転は警察に報告して取り締まってもらう」という当たり前のことを頭に入れて置いたら、起こることがなかったケースもあったのかもしれない。
そのため、警察にはたとえ重大事故が起こらなくても、悪質な運転が記録されているドライブレコーダーを提出されたら、徹底的に取り締まってほしい。
微罪であれば即座に逮捕、罰金、免許停止とまでは必要ないにせよ、最低でも電話で警告するくらいのことは行い、累積すれば処罰の対象とする。
非常に面倒であることは重々承知であるが、そうすることによって、他人の運転に対して、思わず「カッ!!」となったドライバーが、自分のやるべきことは「あおり運転で抗議することではなく、悪質な運転を警察に報告すること」だと思うことができれば、後々重大事故が引き起こされることを防ぐことができるかもしれない。
というわけで、ドライブレコーダーの開発や販売に携わる方々は、製品の売り上げアップも期待して、些細な道路交通法違反も徹底的に取り締まるよう関係者に強く訴えかけてほしい。