社会保険料負担を逃れるためには手段を選ばない悪徳企業

前回の記事でも紹介した通り、私は先月で退職した。

契約満了日が930日で、その日はたまたま金曜日だったこともあり、最終勤務日と契約満了日が一致したキレがいい終わり方になった。

こんな話をしても、ほとんどの読者にとっては、どうでもいい話に思えるかもしれないが、私はこの2つの日付が一致するか否かに過敏になっている。

今日はそう思うようになったきっかけについて話をさせてもらいたい。

・悪意に満ちた退職日の修正依頼

かつて、私は派遣社員として働いて職場を自己都合で退職した。

その職場は先月まで働いていた会社と同じく土日が休日だった。

契約満了のタイミングは月末だったため、31日となっていたが、その日は土曜日だったため、前日の30日で勤務終了となった。

その派遣先は派遣会社の管理者が駐在している職場で、最終月に入った頃、派遣会社の管理者が退職届の用紙を私の下へ持ってきた。

私は必要事項の名前と退職日を書き、退職日は「契約満了日であるX31日」と記入した。

すると、彼は「すいません。早川さんの最終勤務日は30日なので、退職日は30日と書いてもらえませんか」と言った。

その時は、何も考えずに言われるがまま「退職日:X30日」と書き直したのだが、それは罠だった。

退職後、自宅に郵送で社会保険喪失証明書が届いた。

勤め先の社会保険を離脱して、国民年金や国民健康保険に加入するために必要な書類である。

職を転々としている私は、この類の手続きには慣れているため、この時も書類の内容をしっかりと確認することなく、いつもと同じように市役所へ向かって手続きを行うことにした。

私の住んでいる地域の市役所では、最初に健康保険の手続きから行う。

必要書類を記入した後、窓口の担当者は私が記入した書類と社会保険喪失証明書の内容が一致しているのかを確認するために一通り目を通すと、こんなことを言った。

窓口の担当者:「国民健康保険の加入月を今月からと書かれていますけど、社会保険喪失証明書によると、先月はすでに社会保険から離脱されているようなので、先月分からの加入になります」

え!?

社会保険は先月から離脱していた!!

私は驚いたが、担当者は社会保険喪失証明書の資格喪失日が前月の30日なっていることと、会社が先月分の社会保険料を支払っていないことを指摘した。

私は納得できず、前職の契約期間が31日までであり、休みの関係でたまたま30日が勤務終了日になったことを説明した。

だが、担当者は、「月末が休日でも、30日が最終日で、会社がその日で退職処理をしたのであれば、会社がその月の社会保険料を負担しないことは違法ではない」と告げた。

それを聞いた私はピンときた。

「だから、奴はあの時、退職日を31日ではなく、30日に書き直して欲しい」と言ってきたのか!?

・まだまだ出てくる悪質な手口

自分で「退職日:X30日」と書いた以上、私にはどうすることも出来ず、仕方なく前月分から国民年金と国民健康保険へ加入することになった。

金銭的な負担はそこまで増えたわけではないので、そこは我慢できるが、会社のやり方はあまりにも悪質ではないのか?

私が10日や15日といった月の前半で退職するのであればまだしも、しっかりと月末までの契約期間を満了し、カレンダーの都合で、たまたま最終日が休日になって、出勤できなかっただけである。

それなのに、わざと30日で退職処理をして、1ヶ月分の社会保険料負担を逃れるなど悪質極まりない。

ちなみに、私は最終出勤日の勤務終了後に会社の管理者へ保険証を返却することを通達された時に、「勤務最終日は30日だから、31日は保険証がない状態になるんですけど…」と聞いた。

会社に疚(やま)しい気持ちがないのであれば、31日だろうが、30日だろうが、すでにその保険証は使用できないことを告げるはずである。

しかし、奴は

「でしたら、返却前にご自身でコピーを取っておいてもらえますか?」

「一日だけのために、お手数をおかけして申し訳ありません」

と言った。

このタイミングでは、本当のことを言えないため、バレないようにトボケておき、自分たちの所業がバレる頃には、すでに縁を切っておこうという魂胆だったのだろう。

つくづく姑息な連中だと呆れる。

「法律違反じゃないからいいんです!!」

とでも開き直るつもりだろうか?

思い返せば、この会社は脱退だけでなく、加入の時も、こちらから訊ねるまで一切の説明を行わず、説明内容も

「勤務開始日の翌月から、加入はできるが、長期の仕事の見込みではないため、加入はあくまでも任意です」

と言って極力加入させないよう仕向けてきた。

叩けば埃がボロボロ出てくる最低な会社である。

私の経験では、それ以前も、労働者の社会保険料の負担を逃れようとする会社はあった。

だが、そのような会社は、加入状況を満たしていてもパートやアルバイトは絶対に社会保険に加入させず、雇用保険料すらケチる有様で、隠蔽も言い訳もするつもりはないようだった。

多分、公的機関の監査が入れば一発でアウトである。

まさに捨て身の行動である。

そのような会社が「良いか、悪いか?」と聞かれたら、もちろん「悪いに決まっている」のだが、ここまで徹しているとある意味では清々しさすら感じる。

しかも、その会社は私たち従業員の仕事には細かく口出ししなかった。

自分に甘いが、人にも甘いのである。

それに対して、今回取り上げたクソ会社は表向きは優良企業の顔をして、私たちに

「コロナの感染対策が~」

「コンプライアンスの徹底が~」

などと言いながら「1mmの規律違反も許さない!」とばかりに些細なことで因縁をつけておきながら、自分たちはド汚い事をやっているのである。

「人に厳しく、自分に甘い」とはこのことですな。

今思い出しても、吐き気を覚えるような会社だった。

あんな会社で働いたことは、ただでさえ傷だらけの私の履歴書の中でも、特に目立つ汚点と言える。

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