前回の記事は私が留学資金を貯めるためにアルバイトをしていた職場が舞台だった。
記事を書くために当時の記憶を辿っていると、同時にあることも思い出した。
・今日はもう遅いから…
私がその職場で働いていた2015年、しかも店長が本性を見せた夏頃はちょうどInterPalsを使い始めた時期だったのである。
仕事で辛い目に遭い、留学費用の為に無駄遣いもできなかった私には、彼らとのやり取りが唯一の楽しみだった。
当時、頻繁に話をしていたのは、このブログで以前登場したことがある南アフリカ人の青年や、「メキシコ人は世界一働き者なのか?」という噂の真相を尋ねたメキシコ人の青年だった。
当時は盛んに交流していた人の中で、今でも連絡を取り続けている人は一人もいない。
だが、ノスタルジックな気分から、当時のやり取りを改めて目にしたくなった。
ちなみに、初期に出会った人のほとんどはアカウントを削除しているため、やり取りの記録こそ残っているものの、受信ボックスの一覧にはInactivate userがズラリと並んでいる。
そのことに一抹の寂しさを感じたが、そんな中、まだアカウントを保持している人物を見つけた。
その人物は当時大学生だったタイ人の女性である。
彼女とのやり取りはこんな様子である。
タイ人女性:「こんばんわ。私はタイの大学生です。将来は英語教師になりたいと思っています。英語の上達と友達作りのためにこのサイトを使っています。私と友達になってくれますか?」
早川:「メッセージありがとうございます。今の日本は夜の11時です。私はもう寝る予定なので、また今度ゆっくりと話しましょう」
タイ人女性:「はい。分かりました」
これだけである。
「今度ゆっくりお話ししましょう」
とは言ったものの、翌日、私が彼女にメッセージを送ることはなかった。
彼女からメッセージが送られることもなかった。
メールボックスを見ていると、彼女がオンラインになっていることは分かったが、翌日メールを送らなかったことで、完全にタイミングを逃してしまった。
・6年越しの返信
そのタイ人女性は私にとって四番目にやり取りをした相手だった。
一人目は日本語でメッセージを送ってきたフランス人の女性で、二人目は前段で少し登場したメキシコ人の男性。
ちなみに三人目は明らかな迷惑メールの送信である。
一人目のフランス人女性は数年前にアカウントを削除し、メキシコ人の男性も数年間ログインしていない。
三人目は論外として、今でも頻繁にログインしている彼女は、私にとって一番初めに出会って今も連絡可能な相手である。
そんな理由から、今回改めて彼女にメッセージを送ってみることにした。
早川:
こんにちは。
私のことを覚えていますか?
私は6年前の2015年にあなたからメッセージをもらった日本人です。
あの時は「今度ゆっくり話をしましょう」と言ったのに、その後、メッセージを送らなくてすいませんでした。
いろいろと理由があって当時のことを振り返っていると、あなたと話がしたくなって連絡しました。
実はあなたが私にメールを送った時は、私がこのサイトを使い始めたばかりの時であり、あなたは当時出会った人で、今でも連絡可能な唯一の人なのです。
そんな理由から、あなたと改めてお話をしたいと思いメッセージを送りました。
お返事をお待ちしています。
翌日、早くも彼女から連絡が届いた。
タイ人女性:
メッセージありがとうございます。
「初めて会う人かな」と思いましたが、前回の会話の記録が2015年8月にあったのでとても驚きました。
私もその時からこのサイトを使い始めたので、よく覚えています。
こんなことから、今になって改めて彼女と対話することになった。
彼女は当時のことを振り返ってくれた。
2015年当時の彼女は20歳の大学生。
日本のアニメが大好きで、タイで開催されるコスプレパーティに参加していたこともあり、プロフィールにもその時の写真を載せていた。
将来の夢は当時の私に語った通り「英語の教師」になることだったが、本当は日本とのつながりを持ちたくて、日本語の教師になりたかったそうである。
だが、日本語の壁は高く、大学卒業は教師になる夢を断念した。
そんな彼女であるが、今は地元の不動産屋で働いており、結婚を考えている彼氏もいるらしい。
年齢も26歳となり、当時の私よりも年上となった。
・他人の成長に対する複雑な感情
6年振りの再会といっても、ほとんど「始めまして」みたいなものだが、初対面の時から大きく成長した彼女のことを思うと感慨深くなった。
彼女に限らず、数年振りに連絡を取ると、前回から暮らしが大きく変わる人は少なくない。
これは別のタイ人の話である。
彼と知り合ったのは今から5年前の2016年である。
その時の彼は大学生で、医療について学んでいた。
一通りの身の上話をした後、彼は私にFacebookを使用しているかと尋ねた。
私が「使用していない」と答えると、彼からの連絡は途絶えた。
そんな彼が3年後の2019年に突然、メッセージを送ってきた。
しかも、彼は数年前に知り合った日本人に改めて連絡するという意識はなく、プロフィール検索で偶然私を見つけたのである。
再会した時の彼は大学を卒業しており、初めて会った時から目標だった医療の現場で働いていた。
彼とは今でも連絡を取っている。
また、この記事を書くために、数人のアメリカ人と話をすることになったが、その中の一人と話をするのは1年振りだった。
知り合った時の彼はファーストフード店で働き、給料が低いことを嘆いていたが、再会した時は企業向けPCのセッティングの仕事に転職して、満足のいく給料を得るまでにキャリアアップしていた。
その他にも、直接連絡こそ取っていないものの、5年前は大学生だったベトナム人の女性のプロフィール画像が子どもと一緒に撮られた写真に変更されていた。
その子が彼女の子どもかどうかは定かではないが、彼女の子どもであってもおかしくはない。
彼らの成長は嬉しいのだが、少し複雑な気持ちにもなる。
「彼らはあんなに頑張っているのに、私は一体何をやっているんだろう…」
確かに文字情報だけを見ると、私も6年前に比べ大きく変わった。
当時は実家暮らしで、時給750円のフリーターだったが、今は親元を離れ一人暮らしをしており、時給も倍になった。
英語のレベルも英検4級から準1級まで進歩した。
しかし、どうも今の自分に自信が持てないのである。
だが、これだけは言える。
やはり、時が流れるのは早い。