ワーキングホリデー経験者からもらったアドバイス②

前回の話はこちら

・ワーキングホリデーは失敗だった?

ワーキングホリデーの結果から言うが、彼のオーストラリアでのワーキングホリデーは「成功」とは言えなかった。

(何をもって「成功」というのかは分からないが、少なくとも彼はそう思っている。)

何とか一年は乗り切ったが、辛いことも多かったと言う。

先ず、資金の問題。彼はオーストラリア滞在中に合計で4ヵ月しか働くことができなかったため、常に資金の問題が頭から離れなかった。

出発前の資金は往復の航空券や出発前の購入品を除いて150万を超えていたため、働かなくても暮らしていくことはできたが、実家でバイトをしていた時の上積みがなく、東京の仕事を辞めた後にそのまま勢いで出発していたら、違う結果になっていたかもしれない。

次に言葉の問題。彼は学生時代にほとんど英語の勉強をしていなかったこともあり、出発前の2年間をほとんど基礎学習に費やすことになった。

その結果、(あくまでも自称だが)英検3級程度の英語力にはなったが、海外で生活するには不自由を感じることが多かった。

それから、モチベーションの問題。

ワーキングホリデーに行くことを決意した理由は、地元の生活にも、東京の生活にも絶望していたからであり、「どうしてもオーストラリアで生活したい!!」というようなものではなかった。

極端な話、ビザが簡単に取得出来て、日本と同じくらいの賃金を稼ぐことができれば、別にカナダだろうが、ニュージーランドだろうが、どこでもよかったのだ。

彼はいつの間にか「オーストラリアに行くこと」自体が目的になっていた。

だから、実際にオーストラリアに着いたら、そこで自分が何をしたいのか、何をしなければいけないのかが分からなくなった。

彼が私に何の目的があって、その国に行きたいのかをよく考えた方がいいと忠告していたのはこの経験からだろう。

また、彼が「自分のワーキングホリデーは「成功」したとは言えない」と答えたのも、これが原因だろう。そもそも目的が無いのだから「成功」か「失敗」かを判断することはできない。

最後に孤独感。

彼はオーストラリアに滞在期間にシェアハウスに住んでいたため、毎日顔を合わせる同居人はいたが、友達をつくることはできなかった。

決して仲が悪いというわけではなかったが、学生でもなく、仕事をしているわけでもないので、次第に話すことがなくなりそのうち、毎日何もせずに家にいること自体に居心地の悪さを感じて、同居人を避けるようになった。

・ブログで日本人とつながる

とにかく、誰かと繋がりかったマサトは現地での生活をブログに書くことにした。

最初は自分の話を誰かに聞いて欲しいと思って書いていたが、彼と同じくオーストラリアに滞在していた日本人がその記事を読んで返事を書いたことから交流が始まり、実際に会ってからは一緒に行動するようになった。

彼はその人からオーストラリアでの生活についていろいろと教わり、仕事を見つけることもできた。

彼はその後、自分が教えてもらったオーストラリアの生活情報についての記事をブログに書き続けた。

その後は徐々に読者も増えていき、若干の収入になった。

しかし、まもなく一年のタイムリミットが訪れて、彼は帰国することになった。

彼は帰国後もブログを続けるかは迷った。

もしあと一年、オーストラリアに滞在することができたら、ブログで現地の情報を書き続けて、収益も増やすことができただろうが、帰国すれば読者と同じ立場になるので、彼らの需要を満たす記事を書き続けることは難しい。

たしかにワーキングホリデーで海外に滞在していることをブログに書く人は多いが、帰国後の様子までも紹介するブログは少ない。

ワーキングホリデーの経験を生かして外資系の会社に就職でもすれば格好はつくだろうが、彼の望みは出発前と同じアルバイトに就くことだった。そんな人間が書く記事を面白がって読んでくれる人などいるのだろうか?

しかし彼はブログを続けることにした。

彼はワーキングホリデーに行くことになったきっかけ、現地で感じた孤独、帰国後の生活を正直に書いてアクセス数を維持した。

・帰国後の生活

マサトは帰国後、実家に戻り、出発前と同じバイト先で働くことができた。

彼が帰国後に収入の低いバイトの仕事に迷うことなく就けたのは、ブログの収益があったので、どうしても仕事で高い給料を得る必要がなかったからである。

そして、かつては毎晩2時間、英語に費やしていた時間を副業に充てることになった。

彼がワーキングホリデーに出かけたのは今から5年ほど前のことである。

さすがにその情報だけで収益化するのは難しいので、今の収益源は別のものを用意しているらしい。

今はバイト代と副業で、東京で正社員として働いていた時と同じ額の収入を得ることができている。

彼の地元でそれだけの収入があれば生活の質は大きく向上する。

彼は、自分がワーキングホリデーに出かけたことが成功だったのか、失敗だったのかは未だに分からないらしい。

よくよく考えてみれば、地元の生活に絶望していたのは経済的理由だったため、その問題が解消されれば、わざわざ英語を覚えて海外にまで行く必要はなかった。

ちなみに、今は「英語を勉強しよう」とか「海外に行こう」という考えは一切ないらしい。

海外まで行ったのは遠回りだったかもしれないが、オーストラリアに行ってブログを書いて収入が生まれたことにより、そのおかげで地元での安定した暮らしを送ることができている。

そう考えると、ワーキングホリデーに行ってよかったのかもしれない。

最後に私は彼にこんな質問をしてみた。

   もし、今の私がワーキングホリデーへ出かける直前のあなたと同じ立場なら、快く送り出しますか?

うーん。それは答えるのが難しい。

一年間、海外へ出ても、それだけで帰国後の人生が劇的に変わるということはない。

自分はたまたまブログでお金を稼ぐことができて、帰れる場所もあったけど、帰国後のことを全く考えず出発したのはリスクが大き過ぎた。

だから、今の生活が不満で出て行くにしても、仕事なり、家族なり、帰国後の生活を支えてくれるものを大切にしておいた方がいい。

さすがに経験者の言葉は重みが違う。

彼は今、自分にとって大切なものに気づいて、幸せに暮らしている。(たぶん)