ペンパルサイトで出会った忘れられない人たち③(日本社会に興味があるタイ人大学生編)

前回前々回とこれまでにペンパルサイトで出会った忘れられない人たちを紹介してきた。

今日もその続きをやろうと思う。

・相手はどんな人

・居住地:タイ

・出会った時の年齢:19

・性別:女性

・職業:大学生

・交流期間:合計4ヶ月

彼女から初めて連絡をもらったのは2019年の夏だった。

私に連絡してきた動機は「英語力を上達させたい」ということと「日本のことを知りたい」というごくありふれたものである。

最初にお互いの住んでいる場所や地元の話をした。

私も彼女も都会に住んでいるが、出身は田舎であるため、故郷の話は波長が合った。

その後はお互いの国で人気のスポーツや、訪れたことがある国の話などをしていたが、1週間ほど経つと、彼女は一切サイトにログインしなくなり、数日の内にアカウントも削除された。

あまりにも突然のことだったが、ペンパルサイトにはこのような行動を取る人は珍しくないため「まあ、そんなものか」くらいに思っていた。

話は翌2020年の元日まで流れる。

新年のお祝いメールを送る人を選択するために、半年以内の記録に目を通していると、消えたはずの彼女のアカウントが復活していた。

アカウントを一旦消したり、再開した理由は不明だが、彼女にもお祝いメールを送ると、返信があり、再びやり取りを始めた。

・日本のことについて熱心に質問してくる

新年のメールをきっかけに再会を果たした私たちは、お互いの国の正月の風習から話を始めた。

それからは時事ネタを中心に話を広げていった。

お互いの社会のコロナ対策とか、バレンタインの習慣とか。(もちろん、この忌まわしい経験も話すことになった)

彼女は日本語を学んでおり、日本語に関する質問も積極的にしてきた。

ひらがなやカタカナ、簡単な漢字はある程度マスターしていたが、「つ」、「枚」、「匹」といった数え方(助数詞)や、「僕」、「私」などの一人称は教科書だけでは学ぶことが難しいようだった。

それから、どんな教科書を使っていたのかは分からないが、現代の日本では使うことがないであろう「ヰ」や「ヱ」という文字について聞かれたこともあった。

彼女は日本語だけでなく、日本の文化や習慣についても積極的に質問してきた。

たとえば、「なぜ結婚後に仕事を辞める女性が多いのか?」や「なぜ初対面の相手に年齢を聞く人が多いのか?」、「他人の家を訪れる時は常にお土産を持っていかなければならないのか?」といったことを聞かれた。

また、最近(といっても、すでに10年ほど前からだが)流行している「ブラック企業」についての質問もあった。

このような話は私が得意とするところである。

正直言って、「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれるよりも喜んで話に応じる。

質問に対する回答は比較的長文になり、それを英語で書くことは時間と労力がかかるが、私としてはこのような関係の方が最も心地良く、そして長続きする。

・とても10代とは思えない

彼女は大学で主に心理学を学び、将来はカウンセラーになりたいと思っている。

当時の彼女はまだ10代で、飾り気がなく、黒縁メガネをかけており、いかにも地方から出てきたばかりの垢抜けない大学生という見た目だが、精神的には大人だった。

私の回答に対して、常にお礼を欠かさないだけでなく、私が仕事を始めて以降、23日おきにしか返信できなくなった時も

「最近、忙しそうに見えるけど、生活が変わりましたか?」

と自然に聞いてきたり、(私はそうは思わないが)際どい質問をする時は

「これは失礼な質問かもしれないけど…」

と断りを入れるなど常に私への気遣いを忘れなかった。

20歳前後の人でこんなことができる人はそう多くない。

その年代の人はほぼほぼ「休みの日はどこへ行ったの?」や「最近、何かあった?」といったうんざりするような質問ばかりしてくる。

連絡の頻度や会話の内容にしても、近すぎず遠すぎずの関係を保って接する彼女の姿には私も学ばされることが多々あった。

コロナの影響で結局は叶わなかったが、実は、彼女は日本へやって来る予定があり、そのための準備として「19歳の私は日本でお酒を買うことはできますか?」と聞かれた時は、「あ、そういえば彼女はまだ10代だった」と改めて思い知った。

・たしかにそれも「日本の風習」ではあるが…

彼女は日本の様々な風習について質問してきたが、ある時、こんなことを聞かれた。

タイ人大学生:「日本の学校では子どもに性教育を行うのですか?」

これまで、このような質問を受けたことは初めてだったため少々戸惑ったが、とりあえず、ネットで拾える情報を集めて、答えることにした。

次に彼女はこんな質問をしてきた。

タイ人大学生:「日本には吉原や赤線と呼ばれる場所があったと聞きましたけど、今では売春は違法なのですか?」

「彼女はどこでそんなことを知ったのだろうか?」と驚いたが、まあ、それくらいなら「日本の風俗(=「性風俗」の意味ではない)史として学んだのかな」と思い、この質問にも答えることにした。

以前、少しだけ取り上げたが、「日本は性が抑圧されている国である」と考えている外国人が多いため、外国の人からこのような話をされることはとても新鮮だった。

のだが、その後も彼女から送られてくるメールには「ピ**ロ」や、「デ**リ」といった、おおよそ歴史の教科書に出てくることなどないであろう単語が含まれていて、日本の性産業について異様に詳しかった。

…って、「質問された」といっても、私が改めて回答する必要などないくらい、彼女はすでにその分野の知識に精通していたのだが…

まあ、ある意味ではこれが本当の意味で「日本通」なのかもしれないが…

その後も、「日本人の性体験の平均初年齢」や「やり目でマッチングアプリを使う人は珍しくないのか?」といった彼女の日本の性に対する質問は続いた。

外国に住んでいる人だから、直に会うことはないが、もしも、近所に住んでいて、その気になれば、いつでも会うことが出来るのであれば、「いかがわしいことになるのでは…」という考えが頭によぎったのは私が自意識過剰だからだろうか…

性欲漲る男性からこのような質問が出てくることは想定し易いが、外見や普段の振る舞いから判断して、最も縁の無さそうな人から出てくるとは思いもしなかった。

そのような質問が繰り返された後に彼女からの連絡はパタリと止んだ。

結局、彼女とは4ヶ月程度の付き合いで、その後は一切連絡を取っていない。

彼女がなぜそのような質問をしてきた理由も定かではない。

単に表に出ない日本の風習に興味があったのか、それとも性的なことに興味があったのか…

もしかしたら、日本に滞在している友人が、そのような業界で働いていることを知ったから、内情を確かめようとしていたのだろうか…

それは今でも謎のままである。

次回へ続く