勤務時間内の小休憩はそこまで有難くない

先日、職場の同僚が上司から仕事を教わっていたのだが、一区切り付いたと思われるタイミングでこんなことを言った。

「ちょっと休憩に行って来ます!!」

この休憩とは昼休みのことではない。

トイレ休憩のことである。

今の務め先には昼休み以外の休憩時間は設けられていないが、かつては昼休み前後の勤務時間内にそれぞれ10,15分の小休憩が入る会社もあった。

そのような所は集中力が途切れないように、10時や15時のような折り返し地点で、一息入れて、労働者はその時間にトイレやスマホの確認、タバコなどのリフレッシュを行う。

工場現場や製造業の会社では、休憩時間は勤務時間外になり、その分、朝が早くなるか、夕方の帰りが遅くなることで勤務時間を調整することが多かった。

また、同じように小休憩が入るものの、休憩も勤務時間に含まれ、その分の給料が控除されない会社もある。

休憩時間が労働時間から除外される職場の人は、「なんで同じように休んでいるのに、向こうだけは給与が引かれないんだ!?」と不満を持つかもしれないが、これは短期間で大量の人員を割いて行う事務系の仕事に多く、短期離職者が続出しないように雇い主が気を遣っているからだと思われる。

今の時期だと年末調整、少し前だとコロナの助成金審査などがそれに当たる。

・休憩が勤務時間に含まれる会社

その他にも、外回りの営業や管理職のように、必ずしも決まった時間に持ち場にいる必要がない仕事もあるが、話が複雑になるのでここでは一旦除外する。

というわけで、勤務時間内に小休憩が入る場合は、休憩時間が控除されるケースと、されないケースの2パターンが存在すると言える。

この2つを比較した場合、多くの人にとっては下記の図式になると思われる。

「控除なし休憩 > 控除あり休憩」

やっていることは同じであっても、給料が発生するのだから。

私もそこについては異論がない。

だが、気を付けたいのは、「控除なし休憩 > 控除あり休憩=休憩なし」とは限らない点である。

賃金の発生に焦点を当てると、その理屈は間違っていないのだが、重大な点が見落とされている。

それは「休憩がない職場は、勤務時間内に私的な休憩が一切認められない」ことが前提になっていることである。

もちろん、かつてはそのような勤務先もあった。

トイレのような生理現象ならやむを得ないと言われているが、工場のライン作業のように、自分一人のせいで仕事を止めるようなことにならなくても、同僚が大勢いる中で、一人だけ抜け出して、トイレへ行ける空気ではない。

加えて、この記事に登場したB(仮名)のように、たとえ上司から許可が出ていても、勤務時間内に独自に休憩を取ることを良しとせず、同僚の動きをしつこく監視して口出しする底意地の悪い人物もいた。

このような職場であれば、無給とはいえ、仕事中に休憩できる時間があるのは有難いと言えるだろう。

だが、ここ数年は事務職に就いて、比較的自分のペースで仕事を進めているためか、時給が発生している勤務時間内でも、行きたい時には自由にトイレへ行ける。

スマホを扱ったり、タバコを吸うことは、「公に認められた休憩時間ではなければ気軽に行えない」という人もいるかもしれないが(実際は認められなくても堂々と行なう者も少なくない)、私はやらないので、勤務時間内に一斉の休憩時間がなくても不満や不自由さは全くない。

むしろ、トイレへ行くための休憩時間の給料をしっかりと差し引く会社には、器の小ささを感じる。

よって、「控除あり休憩=休憩なし」ではなく、「休憩なし > 控除あり休憩」となる。

・同時に休憩に入るとトイレが大混雑

今の職場は時給が発生する勤務時間内だろうが、トイレ休憩は各自に取ることが出来る。

それでは「控除なし休憩=休憩なし > 控除あり休憩」となるのか?

「休憩なし > 控除あり休憩」についてはその通りだが、「控除なし休憩=休憩なし」とは言えない。

かつて私も冒頭で触れたような短期派遣の事務職で働いていたことがあり、そこで給料が差し引かれることなく、午前と午後に10分間の小休憩があった。

勤務初日にオリエンテーションでその話を聞かされた時は

「え!! 本当に給料の天引きがなくて、休んでも良いの!?」

「なんて良い会社なんだ!!」

と感激した。

ところが実際に勤務を開始すると、必ずしも良いことばかりではないと気付いた。

先ずは2時間程働いた時点で休憩となると、トイレに行きたくなる。

たとえ、尿意を催さなくても、この機を逃したら、次のチャンスは2時間後になってしまう。

だとしたら、今のうちに…

これは私に限らず、他の人も同じだった。

その結果、10分の休憩時間に多くの人がトイレに殺到して混雑する。

男性は頭数が少ないのでまだマシだったが、女性は人数が多い上に1人当たりに時間がかかるので、トイレの比率は3:1にしてもかなりの行列が出来ていた。

もしかすると、順番待ちをしている間に10分の休憩時間が過ぎてしまった人もいたのではないだろうか?

そんなことになったら、トイレへ行くだけでも遅刻扱いされてしまう。

これだったら、一斉休憩など取らずに、各自が好きなタイミングで行く方が遥かにマシである。

ちなみに、この会社は休憩時間でなくとも、トイレに行きたくなったら自由に行けたので恵まれた方である。

同僚に聞いた話では、同じように有給の小休憩が10分あるものの、その時間外にトイレへ行く場合は上長に報告の上、抜けた時間を記録されて、その時間が多ければ契約を更新されない職場もあるらしい。

私が実際にその職場で働いたわけではないので断定はできないが、そこもきっと小休憩の10分にトイレへ行きたい人が殺到して順番待ちが発生していたことだろう。

すると、割を食った人は、休憩時間外にトイレへ行くことになり、そのことで契約打ち切りという目に遭ったかもしれない。

もっとも、私でその立場であれば、そんな劣悪な労働条件の会社など、喜んで去るだろうが…

というわけで、現在の私にとっては

「休憩なし > 控除なし休憩 > 控除あり休憩」

という図式になっている。

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