先週末、夢の中で危機的な状況に直面していた。
目を覚ました時は、汗で足元がびっしょりと濡れ、心臓は激しく鼓動を打っていた。
そこまで、私に強烈なインパクトを与えた夢とは…
・どこにも逃げられない
舞台は深夜の跨線橋。
なぜか新宿駅のような都会のターミナル駅前のデッキにいた私は、どこかへ向けて歩き始めた。
深夜だったためか、周囲には人がほとんどいない。
そんな中で歩き始めると、背後に人の気配を感じた。
遅い時間とはいえ、このような都会の駅の周辺なのだから、誰かいてもおかしくないだろう。
ところが、私は嫌な予感がした。
「もしかして、ナイフで刺されるのでは?」
そうした直感的な恐怖が脳裏をよぎった。
幸い、その時は何事も起こらなかったが、それは後の展開の予兆だったのかもしれない。
少し歩くと、跨線橋に到達し、線路の上を歩いていた。
すると、正面から外国人と思われる白人の若い男が歩いてきた。
周りには誰もいない。
彼は笑顔を浮かべながら私の前に立ち塞がるように止まり、何かを話しかけながら、私の肩を軽く叩いた。
そして、もう片方の掌を差し出した。
彼が発する言葉は理解できなかったが、雰囲気から「お金を要求しているのだ」と悟った。
当然、そんな要求に従うつもりはない。
私が無視を決め込んでいると、彼の背後から自転車に乗った二人組の若い女性が現れた。
ちなみに、この二人も外国人のようだった。
私は助けを求めるつもりで「Help me!!」と叫んだ。
しかし、彼女たちは自転車を降りると、その男の隣に並び、にこやかに振る舞った。
彼女たちも、まさかの「仲間」だったのだ。
私は正面突破を諦め、引き返して逃げることにした。
だが後方からも、数名の体格がいい男が歩いてきて、私の前に立ち塞がった。
彼らも、仲間なのだろう。
私はあっという間に外国人の不良グループに囲まれた。
四方を塞がれ、笑顔で迫られる彼らに対し、もはや絶体絶命の状況であった。
そこでようやく目が覚めた。
夢で良かった~
夢でなければ命の危機だったかもしれない。
・対策を考えてみた
私が今回の夢でとても恐ろしいと感じたのは、単に「外国人の不良グループに囲まれてカツアゲされる」という状況に直面したからではない。
一番恐ろしかったのは、場所が「跨線橋」だった点にある。
通常の道路であれば、建物に駆け込む、脇道に逸れるといった選択肢が残されている。
だが、跨線橋はそうはいかない。
道幅が狭いだけでなく、線路の上だから飛び降りることも出来ず、すぐに駆け込める建物もない。
手短に表現すると「逃げ場がない」のである。
そして、通行人以外の人の目に触れることもなく、こっそりと通報してもらえる可能性も低い。
そんな場所は、不良グループにとって、格好の狩場となり得る。
しかも、そこは「日常生活からかけ離れた危険な場所」ではなく、至って身近な場所なのである。
それを実感したので、単なる「夢の中の出来事」として割り切ることが出来ず、現実的な恐怖を感じた。
それから数日間は、夢の出来事を忘れることが出来ず、「もし現実で、そんな状況に直面したら、どうすればいいのか?」と、具体的な行動をイメージしていた。
私が考えたのは以下の通りである。
・①:危険な場所は最初から避ける
いくら生活に必要なルートとはいえ、深夜や人通りの少ない時間帯は最初から避ける。
遠回りでも大通りを選ぶ方が安全。
これに越したことはない。
・②: 十分警戒しながら跨線橋に入り、少しでも危険を感じたら引き返す
とはいえ、代替ルートもないため、仕方なく通らないといけないこともあるだろう。
そんな時は、「危険なことが起こるだろう」という前提で、常に警戒しながら歩くこと。
そして、少しでも嫌な予感を感じたら、「せっかくここまで来たのだから…」というスケベ心を捨てて、すぐに引き返す。
たとえば、夢の冒頭で私が感じた「背後の気配」。
これは実際の場面でも重要な警告信号になり得る。
たしかに、これまでに費やした時間や労力は無駄になるかもしれない。
だが、後に起こるかもしれない危険を考えると、その方がはるかにマシと言える。
・③:知らない人物に声をかけられても無視する
ここまでは、「いかに危険を避けるか」について述べてきたが、ここからは実際に危険な状況に直面してしまった場合について話したい。
まずは、距離を保って、肩を叩かれる距離に近づかない。
そして、話しかけられても無視する。
優しい人は、見知らぬ人に話しかけられたら、「もしかして困っているのでは…?」と感じて、応答してしまうかもしれないが、その優しさに付け込む悪人が多いこと多いこと。
そして、そうした優しい人は話を聞かされてしまうと、余計に断りづらくなってしまう。
だったら、最初から話など聞かない方がずっと楽である。
・④:防犯ブザーを鳴らす
相手を無視することが出来ず、お金を要求されたり、暴力で脅されたり、大勢に囲まれたり、まずは大声で助けを求める。
ちなみに、「泥棒!!」よりも「痴漢!!」と叫ぶ方が周囲の人は反応しやすいらしい。
「痴漢は卑劣な小心者による犯罪」というイメージがあるためか、「取り押さえても危険はない」という安心感によって、協力的になる人も多いらしい。
とはいえ、周囲に誰もいない可能性が高いのが深夜の跨線橋である。
そんな時は防犯ブザーを鳴らす。
その音を聞いて誰かが駆けつけてくれるに越したことはないが、ブザーが鳴ると相手は動揺したり、不快な音が鳴り続けることによって退散することもある。
そして、わずかな隙が生まれたら、そこをついて逃げることも出来て、相手も小金を奪うために、わざわざブザーが鳴る方まで追いかけて来ようとは思わないだろう。
小学校では、児童が通学中に不審者に襲われた時に備えて、各々に防犯ブザーを支給しているようだが、私個人の話をすると、子どもの頃よりも、大人になってからの方が、「防犯ブザーを鳴らした方が良い」と感じる場面に出くわすことが多かった。
防犯ブザーは決して、子どものための物ではなく、大人であっても携帯しておいた方が良いだろう。
・⑤:諦めてお金を渡す
対策になってないかもしれないが、抵抗を諦めてお金を渡すという手段も考えられる。
こちらに落ち度がなく、何の対価も受け取らない状況で、お金を渡さなければならないことは理不尽極まりないのだが、命には変えられない。
お金は後から取り返すことが出来るが、命は一度失ったら、二度と戻って来ない。
・防犯の本質は戦わずに回避すること
前段の対応策を見ていて気付いた人もいるかもしれないが、①→②→③…と進んで行くに連れて、より状況は悪化している。
①を実行していれば、そもそも②~⑤が必要な事態には直面しないし、②が上手くいくと、③~⑤の手段を行使する必要もなくなる。
このように、防犯の本質は「危険を避けること」であり、もし、危険な状況に直面したとても、「闘わずに逃げ切る」ことである。
「護身術や格闘技を学んでいれば抵抗できる」と思う人もいるかもしれない。
しかし、複数人を相手にするのは現実的ではない。
そして、技能が未熟な人ほど、自身の力を過信して、痛い目に遭うのだ。
夢の中では、なぜか絶体絶命の状況に追い込まれたが、よくよく思い返すと、そもそも私は普段の生活では20時前には帰宅しており、歩き慣れている自宅周辺ですら、旅行や帰省の帰りという限られた状況を除くと、21時以降に出歩くことは、年に2,3回しかない。
当然、深夜に跨線橋を渡ったことなど一度もない。
手前味噌で恐縮だが、これこそが最高の防犯対策だと自負している。
悪夢は不快ではあったが、同時に「自分の身をどう守るか」を深く考えるきっかけを与えてくれた。
危険はいつどこで襲ってくるかわからない。
だからこそ、夢の経験を単なる恐怖で終わらせず、現実の防犯意識へとつなげていきたい。
そして、私はこれからも毎日20時前には帰宅して、夜は一歩も出歩かない生活を続けていくつもりである(笑)