先日スーパーで買い物をした時に、レジでこんなことを思った。
「あれ、そんなに買っていないはずなのに、こんなに高いの!?」
昨今、生活必需品の値上がりが著しい。
それに合わせて、家計は圧迫される。
そんなニュースは毎日のように報道されている。
今まで私は、そこまで物価の高騰を気にしなかった。
だが、今回は3つの商品しか購入しておらず、それぞれの値段もはっきりと憶えており、レジに並んでいる時に暗算していたことから、おおよその値段を想定していた。
そのため、会計時の値段にどうしても納得できず、店から出てすぐにレシートを読み返した。
すると、違和感の謎が解けた。
それは・・・
商品を手に取る時に、デカデカと表示されていた税抜き価格しか見ていなかったからである。
買い物をした時は本体価格とは別に10%(一部は8%)の消費税がかかる。
先程の買い物も、清算時に本体価格とは別に消費税が加算されていたのである。
私が最近買い物をしている店は税込み(内税)しか表示していないので、ついついそれが当たり前だと思って、違う店で買い物をした時も同じものだと思い込んでいた。
そのような勘違いをしたことで八つ当たりをしていると思われたら、そこまでだが、私は常々こんなことを思っていた。
物を売る時に税抜き価格をデカデカと掲げる店って一体なんなん!?
・ぼったくりじゃないのか…
今から3年程前のこと。
私はペンパルサイトで30代のスウェーデン人男性と出会った。
彼はコロナが流行する直前の2019年末に東京を訪れており、その時の話もしてくれた。
日本での旅行は彼にとって楽しいものだったが、日本の消費税だけはどうしても納得できなかったという。
その話を聞いた時は少し驚いた。
スウェーデンの消費税は25%で日本とは比べ物にならないほど高い。
そんな国に住んでいる彼が、たかだか10%の消費税に激怒した理由は何だろう?
彼が訪日した時期は消費税が8%から10%に上がった直後だったため、ガイドブックの情報と違ったのか?
スウェーデンでは標準税率こそ25%だが、生活必需品には軽減税率が適用され、日本のように食品ですら8%の消費税がかかることに激怒したのか?
その理由はどちらでもなく、彼が買い物をした多くの店が税抜き価格しか表示しておらず、レジで別途消費税を請求されたことである。
最初は違和感を持ちつつも、金額が少額だったり、複数の物を同時に買ったため、「自分の計算が間違っていたのだろう」と思っていたが、1万円以上する物を買った時に、「さすがにこれはおかしい」と思って抗議したら、消費税は表示されている金額には含まれていないことを説明された。
「日本人は誠実で、客を欺くようなことは絶対にしない」と思っている外国人は少なくない。
彼もその一人だったが、日本では消費税を含んだ金額を表示せずに、後出しのように、レジで請求することに少なからずショックを受けたという。
ちなみに、スウェーデンではほとんどの場合、税込み価格しか表示されないらしい。
しかも、商品によって税率が異なるため、買い物をした時に「消費税をいくら払った」ということもほとんど意識しないのだとか。
そのため、「消費税が25%!!」という我々の驚きとは対照的に、当事者たちはどこ吹く風といった様子。
レシートには細かく書いているのだが、そもそも「消費税は物を買う側が商品の値段とは別に払わされるものではなく、売る側が売り上げから控除されるもの」という認識のため、一消費者はそもそも関心がないとのこと。
ちなみに、これは私の想像だが、彼らがそれ程までに高い消費税を許容できるのは、そのお金が福祉の財源となり、自分たちも恩恵を受けられることを自覚しているからではなく、「消費税というものは、商売をやっている人に降りかかる問題であり、自分たち消費者にとっては関係ないから」という無関心さがあるからではないだろうか?
そのような「消費税を払っている」という自覚がない国で暮らしている彼にとっては、たとえ本国より低い10%の消費税でも、表示価格とは別に請求されたら、「ふざけるな消費税!!」と言いたくなるだろう。
・税抜き表示なんて誰が得をするの?
私もスウェーデン人の彼と同じく「物を買う時ははっきりと税込み価格を表示すべき」と考えている。
というよりも、税抜き価格を見せる理由が皆目見当つかない。
結局は消費税を払うことになるのだから、税抜き価格を見せられたところで、「お得だ!!」なんて思わないし、いくら安い値段を見せつけられても、レジで会計をする時に期待していた金額よりも高ければ、彼と同じように「なんだよ!?」と思う。
税込み価格のことは「総額表示」と呼び、その表示の義務化は2004年4月にスタートした。
この時から、表示価格は税込みが基本となったものの、2014年に消費税8%に上がり、遠くない内に10%への値上げが予定されるということで、それまでの移行措置として、2013年10月から2021年3月まで税抜き価格の表示が認められた。
消費税の税込み/税抜き表示、正しいのはどちら? | ZEIMO
そして、10%へ上がって1年半が経った2021年4月から税込み価格の表示が義務化されたわけだが、2013年9月以前と異なり、税抜き価格を大々的に掲げ、その下に小さく税込み価格を表示する(いかがわしい)店がやけに増えた気がするのだ。
物を売る側の本音としては、少しでも値段を安く見せるために税抜き価格を使いたくてしょうがなく、消費税8%化に合わせて税抜き表示が解禁された時は「今がチャンスだ!!」とばかりに欲望を解放させ、2021年4月以降も税込み価格こそ表示するものの、私が買い物をした店のように、見えないように小さく表示しているのかもしれない。
だが、はっきりと言わせてもらうと、税抜き価格の過大表示は消費者にとって、害でしかない。
彼らは「少しでも値段を安く見せないと客が買ってくれない…」とでも言いたいのかもしれないが、消費者は値段が高いからではなく、そんなセコイ手で商売をしようなどという舐め腐った考えを軽蔑しているから買わない、とは考えないのだろうか?
2014年の4月。
私は実家を出て、都会に住んでいる親族と同居することになった。
その際に、支出に気を付けようと思い、家計簿と呼ぶには大げさだが、買い物をしたものはすべてノートに記録することにした。
もちろん、「食費」、「通信費」、「備品」というように勘定もつけて。
「これくらいどうってことはない」と思っていたのだが、まさにその時は消費税が5%から8%へ上がったタイミングであり、よく買い物をしていた最寄りのスーパーが、店内の表示だけでなく、レシートも税抜き表示に変えていた。
その結果、レシートの内容をすぐに転記することが出来ず、自分で電卓を使ってひとつひとつの値段に8%を計算せざるを得なくなった。
すべてを合算した後で消費税を8%足すような計算をされると、このように甚だ迷惑だった。
消費税として支払った金額が確定申告で控除されることでもない限り、一消費者にとっては支払った金額だけが重要であり、「その内のいくらが消費税であるか?」などどうでもいい話である。
こんな経験もあるため、私は税抜き価格表示が好きになれないのである。
ちなみに、そのお店は、消費者として関わっただけではく、かつてアルバイトとして働いたこともある。(このブログではお馴染みのモーレツパート班長がいた会社)
その時は朝礼で「誠実な態度でお客様に~」という企業理念の一つを唱和させられたのだが、今思うと、「店内のPOPでも、レシートでも、税込み価格を表示せずに、少しでも値段をチョロまかそうとするような会社が、よくもまあ『誠実』なんて言葉を口に出来たなあ」と大いに呆れる。