スーツを着ることはカッコいいことなのか?

今月の上旬にペンパルサイトで知り合ったアメリカ人が観光で日本へ来た。

彼が訪れたのは西日本だったので、私と会うことはできなかったが、先日、彼が日本で撮った写真を見せてくれて、日本の感想も聞かせてくれた。

その中で、彼が面白いことを言っていた。

日本人はYシャツにネクタイという格好で働く人が多くて驚いたよ。

アメリカにもそういう格好で働く人はいるけど、タクシーの運転手や、格安ドリトミーのスタッフ、スーパーの店員はもっとラフな服装で働いているよ。

彼がこれを日本の良い所だと思っているのか、それとも悪い所だと思っているのかはわからない。

ただ、私は(安全のための作業着が必要な仕事はともかく)日本の肉体労働者はもっと自由な服装で働いていいと思う。

なぜ、この国の会社はスーツで働かせることにこだわるのだろうか?

・仕事中は作業服を着るのに、通勤はスーツ着用というバカバカしさ

私が東京に出てきたばかりの頃、短期で働ける仕事を探していた。

求人誌に目を通していると、住まいから近くて、時給が良さそうなピッキングの仕事を見つけた。

私は派遣会社に登録へ行って、その仕事の詳細を聞かされたのだが、唖然とした。

その仕事は医薬品の仕分けの仕事で、仕事中は会社から支給される作業着と靴を使うのだが、通勤はスーツと革靴の着用が必須だった。

意味不明である。

なぜ、作業着が貸与されるピッキングの仕事で、通勤のためにスーツなど着なくてはいけないのか?

私はそんな会社で働きたくないと思い「実は他に応募している仕事もあるので、その仕事の結果が出てからエントリーするか決めていいですか?」と言って返事を保留し、時間をおいて、「その仕事に採用が決まったので、今回の応募は辞退する」と伝えて辞退した。

・スーツを着て働く人はカッコいい?

ピッキングの派遣の仕事に関して言えば、もう一つ不思議な体験をしたことがある。

その仕事は会社に届いた郵便を部署ごとに仕分けして、各事務所まで届ける仕事だったが、面接の時にこんなやりとりがあった。

面接担当者:「女性は支給される作業着の着用が必須ですが、男性はスーツか作業着か選択できます。どちらがいいですか?」

早川:「作業着の方でいいです。」

面接担当者:「え!? 本当ですか? 男性はスーツを希望される方が多いのですが・・・」

早川:「え!? どうしてですか?」

面接担当者:「スーツを着こなしている人はカッコいいじゃないですか? 男性はそういう姿に憧れるものじゃないんですか?」

え!?

私は20数年生きてきたがスーツで働きたいと思ったことも、スーツ姿がカッコいいと思ったことも無い。

一度、スーツを着て働いていたことはあるが、その恰好が嫌でたまらなくて、作業着で仕事をしている清掃員の人の方がよっぽど眩しく思えたほどである。

・スーツを着ている人は立派な社会人という妄想

スーツを着て働く人は「きちんとした社会人」というイメージを持っている人がいる。

新社会人のママ:「あなたもスーツを着るようになって、立派な社会人になった感じがするわ」

職に就いたばかりの子どもを持つ親なら、このようなことを思うのも当然かもしれないが、私はこのような発言を聞くたびに反吐が出そうな気分になる。

「スーツを着ることが社会人の証って、何よそれ!?」

「それじゃあ、作業着を着て働いている人は社会人とは呼べないの!?」

「特定の職種しか頭にない排他的な人間が、よくもぬけぬけと『社会人』なんて偉そうな名前を名乗れるなぁ?」

「スーツを着る」=「立派な仕事」とは実に不愉快な理屈である。

少々、感情的になってしまったが、私は「悪いヤツほど身なりに気を遣う」と思う。

たとえば、詐欺師である。

彼らほど身なりを整えて仕事(?)に打ち込む人はいない。

これは当たり前である。

詐欺師は信頼が第一なのだから、身なりに気を遣うことは普通の会社員など比べ物にならないくらい重要である。

以前、振り込み詐欺の研修を取材した本を読んだことがある。

それはテレアポの研修なのだが、参加者はスーツ着用が必須だった。

考えてみたら当たり前のことだが、ターゲットと直接顔を合わせるわけではない研修であっても、都会のオフィスに真昼間から大勢で集まるわけだから、通行人や他のテナントの人物から怪しまれないために、会社員を装わなければならないのである。

いきなりこんなことを言われても考えが整理できない人いるかもしれないが、スーツを着ている人が立派な職業とイコールで結ばれないことは暴力団を見ればわかるだろう。

彼らはスーツ着用が必須である。

Tシャツに短パンというラフな格好で勤務(?)を認められているカジュアルヤクザなんて聞いたことがない。

よく「入れ墨がある人間はみんな暴力団だ!!」と考えている人がいる。

暴力団排除条例が強化されて、「入れ墨がある人間は暴力団員である可能性が高いから、取引してはいけない」という規約を設けている店や会社があるらしい。(しかも、なぜか理由をつけてガイジン様の入れ墨は不問にしている)

しかし、外見だけで暴力団関係者を識別するのなら、スーツを着ている人間も同様に出入り禁止にすべきではないだろうか?