たばこ休憩よりも迷惑な仕事中の息抜き

ずいぶん前に書かれたものだが、この記事を読んだ。

「たばこ休憩」を不公平と思う人に欠けた視点 法律や働き方改革の面から考察してみた 東洋経済 ONLINE

ある社会保険労務士(以下:社労士と呼ぶ)が「たばこ休憩は本当にズルいことなのか?」と疑問を投げかけている記事なのだが、私はこの記事を読んでとても驚いた。

「え!? どうして社労士の人が労働者に甘いことを言っているんだ!?」

これは私の偏見なのだが、私は社労士という職業に良い印象を持っていない。

書店で労働関係の本のコーナーを眺めていると、ブラック企業の経営者へ入れ知恵する本の著者は大概社労士であるし、私は実際に社労士によって勤務先を潰された経験がある。

・私は社労士に職場を潰されました

その職場が潰れるきっかけとなったのは、勤務先の社労士が社長へこんな入れ知恵をしたことだった。

バカ社労士:「人件費を抑制するためにパート従業員の残業を原則禁止するべきだ」

その結果、自発的な残業は禁止され、実際に、生活のために積極的に残業をしていたある従業員の契約を打ち切った。

それを見たパート仲間は「こんなひどい会社なら自分も辞める」と言って、さらに2人退職することになった。

現場は短期間で3人も離職したのだから、たちまち人手不足となり、私の上司はすぐに増員要請をした。

しかし、社長は「この状況なら従業員は今の人数で十分」という社労士の主張を真に受けて従業員の補充を許可しなかった。

バカ社労士:「パートなんて使い捨てなんだから、また必要になった時に取ればいい」

彼はそんなことを考えていたのだろうが、その頃から世間でも「人手不足」という言葉が使われ始めて、最低賃金に毛の生えた程度の給料しか貰えない現場仕事は敬遠されるようになってきた。

そのような状況だったため、その後、家庭の事情やら何やらで退職者が増えて、求人を再開した時には、以前と同じ時給で働いてくる人は誰も来なかった。

結果、残った人の仕事は過重になり、それを苦にして退職する人が出て、ますます人手不足で……という負のスパイラルで仕事が回らなくなり、事業所は閉鎖、経営権は人手に渡ることになった。

念のために言っておくが、このバカ社労士が「人件費が高すぎるからもっと減らせ!!」とほざいていた時は「すき家牛鍋事件」の後であり、すでに単純労働の人手不足が知られていた。

にもかかわらず、目先の利益のために、従業員を減らす方法を選び、結果として会社は潰れることになった。

この無能社労士は従業員だけでなく、経営者も不幸にしたのである。

このような経験があるので、私は「社労士は労働者の敵だ!!」と思っていたのだが、「中にはこんなことを言う人もいるのか!?」と驚いた。

…のだが、コメント欄を見てみると、この記事に対する反対意見、しかも労働者目線のものが恐ろしいほど大量に溢れていた。

まるでゾンビか悪霊の怨念のように。

「従業員の敵は従業員」(などと言った人がいるのかは知らないが)とはこのことである。

この様子を見てほくそ笑む経営者の姿がまざまざと思い浮かぶ。

この国で労働者が生き生きと働くことができるのは果たしていつになるのやら……

幼稚な陰謀論のような話を展開して申し訳ないが、もしかして、この記事を書いた人はこの怨念に満ちたコメントを意図的に集めて晒すことで、「『仕事中のサボり』は労働者からもこんなに嫌われてますよ~」という空気を作りあげて、最終的にはたばこ休憩を含むあらゆる息抜きの機会を封殺する気ではないのかと疑うようになってしまった。

・たばこ休憩とトイレでスマホ休憩

さて、今日の本題に入ろう。

私は非喫煙者だが、別にたばこ休憩をズルいとか不公平だとは思わない。

月給や成果給の人だけでなく、時給制の人もどんどん取ればいいと思う。

たばこに集中力を高める効果があるのかは定かではないが、はっきり言って私には関係ないことである。

ちなみに、私は過敏性腸炎という症状があるので、仕事中に急に腹痛を起こすことがある。

そのため、他の人よりもトイレに行く回数が多い。

大半はお腹が痛くなっても便が出ることはないのだが、「大丈夫」だと思って、漏らしてしまうことの方がよっぽど問題なので、異変を感じたらすぐにトイレへ行くようにしている。

だから、たばこ休憩を取る人のことを声高に非難することは出来ない。

しかし、私がたばこ休憩に寛容なのは、トイレへ行くために仕事場を離れることが多い自分が後ろめたいからだけではない。

私は常々こんなことを思っている。

たばこ休憩などよりも遥かに迷惑な(といよりも絶対に許せない)サボりがある」

それは、仕事中にトイレでスマホを扱うことである。

百歩譲って、仕事中であっても事務所や作業場で堂々と扱うことは容認できる。

その結果、上司に怒られたり、クビになっても自己責任だから。

ただし、「『上司や同僚から離れて一息つきたいから、ちょっとトイレの中でスマホを使おう』などというクソ甘ったれた人間は服務規程違反で即刻解雇すべきである」と思っている。

先ほど触れた通り、私は仕事中に突然腹痛を起こしてトイレに行くことが多いのだが、今の職場でトイレに行く時に常々感じていることがある。

それは…

トイレの待ち時間が長過ぎる!!

ということである。

私の作業場所から一番近い所にあるトイレは大便用の個室が5つあるのだが、トイレへやって来ると、毎回少なくとも2,3人は順番待ちしている。

仕方がないから、少し離れた別のトイレに行ってみても同じように先客が並んでいる。

部屋が1つや2つしかないのなら、順番待ちが長くても「今、トイレに入っている人はお腹の調子が悪いのかな?」と心配になるが、5つのトイレがすべて10分近く占領されていると「こいつら絶対に中でスマホいじっているだろ!!」と疑いたくもなる。

実際に順番待ちしている人の多くは、待っている間にスマホで遊んでいる。

待ち時間があまりにも長い時は「テメー、いい加減にしないと、マジでぶっ**すぞ!!」と言いたくなるし、私と同じく順番待ちしている人がスマホをいじっている姿を見るだけでも殺意が湧いてくる。

このようなことがあり、毎回トイレに入るまでに10分近くはかかり、トイレ内の滞在時間がその半分の5分以下の場合でも、作業場で働いている人から見たら「この人はなんでトイレに行くだけなのにこんなに時間がかかるのだろう? もしかしたら、サボっているのかな?」と疑われるのではないかと思い、毎回ヒヤヒヤしている。

・快適すぎるトイレも考えもの

私は現在東京のオフィスビルで働いているが、トイレは隅々まで掃除されており、清潔度は抜群にいい。

まるでホテルのような快適さだ。

冗談抜きに「この中で食事ができる!!」と思ったほどである。

しかし、それが「トイレで息抜きスマホ」、または「便所スマホ」とでも言うべき破廉恥な行為を助長しているのではないだろうか?

以前、イベント関係のバイトをしたことがある。

そのイベント会場は男性が大きい方の便をするトイレの数が極端に少ないということで、建設現場で使用されているような仮設トイレを10台ほど屋外に設置して、男性客が大きい方を出したい時はそちらを利用してもらった。

そのトイレは和式で水も流れない。

そのため、使用しているとトイレ内には臭いが徐々に蔓延してくる。

私の仕事は入場案内だったため、一度チケットを切って会場へ入った人が、トイレのために一旦外へ出て、再入場する際の対応もしていたのだが、彼らがトイレへ行って戻ってくるスピードの早いこと早いこと。(大のはずなのに)

「もしも、トイレの前で彼らが出入りする様子を眺めていたらその回転率には驚くだろうなあ…」などと下らないことを想像してしまった。

さすがに、職場で毎日使用するトイレがこんな環境だとしんどいが、逆に「トイレが清潔だとすべてが幸福なのか?」と言われれば違う気がする。

・結局は個人のモラルの問題

というわけで、私にとっては「トイレで息抜きスマホ」または「便所スマホ」の方が「たばこ休憩」などよりもはるかに迷惑なサボりなのである。

それに比べたら、たばこ休憩なんて全然マシだ。

トイレで息抜きするためにスマホをいじるという変態行為で周りへ迷惑をかけるくらいなら、どんどんとたばこ休憩を取ってほしい。

私の場合は便意が起きても大半は空振りなので、便所スマホの被害はせいぜい順番待ちのイライラ感と「トイレの時間が長すぎる」と上司や同僚から疑われることの2つだけだが、本当にお腹の調子が悪くて一刻も早くトイレへ行かないといけない人にとっては重大なことである。

最近はトイレの中でタバコを吸うと火災探知機が反応して、スプリンクラーが作動することがあると聞いたことがあるが、同じように室内でスマホを扱うと警報装置が作動して、スマホがフリーズするトイレを開発してほしい。

子どもにスマホを持たせることに反対する人が主張する理屈でこんなものがある。

「高校生ならまだしも、判断能力が十分ではない小中学生にそんなものを持たせたら、所構わず好き勝手に扱って大変なことになる!!」

しかし、便利なおもちゃを与えられたら、見境なく遊ばずにはいられないのは大人も同じようである。

結局はスマホの扱いに年齢など一切関係なく、すべては個人のモラル次第ということになる。

スポンサーリンク