ズッコケ社員に尻拭いされるモーレツ社員

前回の記事で「いい加減でやる気のないズッコケ社員よりも、自分と他人に厳しいモーレツ社員の方が会社にとって迷惑となることがある」ということを書いていると、これと似た体験を思い出した。

・モーレツパート班長

以前、私が始末書を書かされた時の話を書いたことがある。

これは、その職場で起きたお話。

その職場は60歳を過ぎたパートの老婆が班長であり、正社員がいなくても業務が回る職場として上からの評価が高かった。

彼女は自分の仕事にプライドを持っており、私たちに対してもそれなりの仕事を求めた。

その結果、たびたび暴走して

「みんなの時給が高すぎる!!」

「みんながもっと自覚を持って働けば、もっと生産性が上がるはず!!」

と厳しい言葉を浴びせることも多かった。

「暴走老人」ならぬ「意識高い系老人」である。

ある日、店長が新入社員(正社員)を新しい班長として、その職場に配属する計画があることを班長に伝え、彼女の希望を聞いた。

しかし、負けず嫌いの班長はそれが自分への引導だと思ったのか、キッパリと拒否した。

また、店長は利益に余裕があるため、パートをもう一人雇うことを提案したこともあった。

それでも、班長は利益優先のため、その提案も拒否した。

どっちが正社員でどっちがパートだか分からないんですが…

・古株ツートップがリタイアする

始末書事件から半月程経過したある日、班長の次に勤続年数が長いB(仮名)が「腕が痛い」と言い出した。

ちなみに、Bは班長に次ぐ勤続15年のベテランだった。

彼女は班長ほどではないにせよ、職場のことを熟知していたため、班長と同じくらい私たちに厳しかった。

彼女のケガは当初、打撲と診断されたようだったが、しばらく経っても痛みが引かずに別の病院で診てもらったところ骨折していたことが判明したため、彼女は2ヶ月ほど休職することになった。

その結果、週5日で働いていた私たちが、彼女が復帰するまで週6日で働くことになったわけだが、もしも店長が増員を提案した時に班長が増員を受け入れていたら、こんなことにならなかっただろう。

Bが休職して1ヶ月程経った日、私は8連勤の最終日で「明日はようやく休みだ!!」というところまで来ていた。

そんな時、班長が

「腰が痛いから明日の休みを変わってほしい」

と頼んできた。

私はさすがにこれ以上休み無しで働き続けるのはしんどいと思い「少し考えさせてほしい」と言って休憩に入った。

時間の休憩を終えて戻ってくると、班長がぎっくり腰で立ち上がれなくなっており、店長に背負われて車で自宅まで送ってもらうことになった。

それを見た私は

「これはもうダメだな・・・」

と思い翌日も出勤することにした。

結局、班長は一週間のリタイアとなり、欠員は2名となった。

その間、職場の穴埋めをしていたのは始末書を書かされた経験のある私に加えて、清掃や用具の管理がいい加減ということで、たびたび班長やBから叱責されていたパートのC(仮名)や、幼稚園に通う子どもがいるため、仕事が残っている時でも定時で退社することで「やる気がない」と陰口を言われていたD(仮名)だった。

ちなみに、人が足りずに職場が回らないことを危惧した店長はレジの担当者を応援に呼んでくれた。

…のだが、実のところ、班長は以前からレジ係のことを

「誰でもできる気楽な仕事」

「いつも定時帰りで責任感がない」

と見下していた。

ところが、そんな人からも尻拭いされるのであった。

「職場ファースト」の精神で他人に厳しかった「モーレツ社員」の班長やBが、自分たちが非難していた「ズッコケ社員」に助けてもらうとは何とも皮肉な話である。

・少しは自分の弱さを知った(はず)

幸い、班長は一週間で復帰したため、この地獄のような連勤は一度だけで済んだ。

もし、これが後一週間は続いたら、残ったメンバーも体調を崩してさらなる人手不足が発生したかもしれない。

「利益!! 利益!!」と言って、人件費をケチるとどうなるのかがよく分かる事例である。

班長は当初、Bが戻って来るまで全員が週6日勤務でシフトを回すつもりだったが、自分が離脱している間に私を含めた「ズッコケ社員」たちが一週間以上休み無しで働くことになったため、少しは自分の弱さを知ったのか、店長の増員の提案を素直に受け入れた。

そして、B2ヶ月後に無事復帰した。

2人とも復帰後は以前ほど他人に厳しく当たることが少なくなった。

私は退職して以降、この職場に出向いていないため現在のことを分からないが、2人ともこの経験から少しは「自分が周りの人に支えられていること」に気づいて謙虚になったことを願っている。