英会話に必要な「基礎」とは何なのだろうか?

前回の投稿を読み直して気づいたことがある。

私は随分と「初心者、初心者」と言葉を連発していたが、私はこれまで自分の英語力について言及していなかった。

私は英検準1級を持っている。この資格が特に役に立ったことはないが、「英検準1級を持っています。」と言えば、すくなくとも初心者扱いされることはないと思われる。

ただ、私が3年前にペンパルサイトを利用した時は英検4級しか持っていなかった。

まさに私が前回、何度も訴えかけていた「初心者」レベルの人だった。

そんなレベルからでも、外国人と英語でメッセージの交換ができたのだから、安心してほしい。

・シンプルフレーズの原点

私は前回、初心者は「あれも、これも」と類似語を覚えるのではなく、「この場面では、この言葉を使う」ということをあらかじめ一つのフレーズに絞っておいた方がいいと書いた。

この考えを教えてくれたのがこの本である。

英会話なるほどフレーズ100
スティーブ・ソレイシィ(著)

この本はネイティブの子どもが成長する過程で覚えていくフレーズをBaby, Kid, Child, Preteen, Teenagerの5つのセクションに分けて100個(+応用フレーズ)紹介している。

紹介されている内容はいたってベーシックなもので、

・大丈夫 It’s OK

・それで足りる Is that enough?

など、英検4級レベルだった当時の私でさえ知っている簡単な単語が中心になっている。

この本を購入したのはちょうど私がペンペルサイトを利用し始めた3年前だった。

正直言って、この本に目を通した時は「これで大丈夫なのか?ベーシックな会話といってもあまりにも簡単すぎないか?」と思った。

しかし、まえがきを読んでいく「なるほど」と思った。

著者のスティーブ・ソレイシィ氏いわく、

日本人はネイティブよりいろいろな英語の知識を知っているのにベーシックな会話能力がない。これはスゴクかわいそうなことだ。

まるで、大工さんが1万個の細かい道具をそろえたけれど、道具が重たくて建設現場にたどり着くことができないのと同じだ。たとえ、うまく建設現場にたどりつくことができたとしても、道具箱からいったいどれを取り出して、どう使えばいいのかがわからないほど、道具が雑然としている。

とのこと。

よく見かける英会話フレーズの本は1冊に着き700から1000近くのフレーズが収録されているが、この本ではフレーズが100個に厳選されているのも、このような理由からだ。

また、おもしろい体験談が書かれていた。

彼の英会話教室で2人の生徒さんに自己紹介をしてもらったところ

1人目のAさんは

・Hi. I’m A

と2秒で済んだが、もう一人のBさんは2分くらいかけて

アー、Let me intro…Let me intr…introduce…Let me introduceだったっけ、my…my…myself.

それからMy name is B. It’s pleasure …あれ?あのあの、It is my pleasure…pleasure meet you.

この2人は英語の知識という点ではほぼ同じだが、Aさんはシンプルな機能の自転車にスイスイ乗っているのに対して、Bさんはわざわざ乗りにくい自転車に転びながら乗っているようなものだ。

当時の私はまさに、このBさんと同じだった。

いくつもの英会話フレーズを暗記したが、あまりにも漠然としていて、この場面では「この言葉を使う」というように上手く使いこなせていなかった。

例えば、前回紹介した「~してもらえますか?」のケースだと

Would you please,Will youCould youPleaseI want you toI’d like you toWould you mind~ing と何パターンもあり、どれを使えばいいのか、いつも迷っていた。

・文法の使い方もシンプルに考える

著者はフレーズだけでなく、文法もシンプルに使うことを勧めている。

まず、文法は気にしなくていいというのは大嘘で、最低限の文法の知識は必要。

ここでいう最低限の知識とは

・主語を必ずつける

・主語+動詞+場所+時間の語順

これを覚えて、徹底すること。

逆に言えば、このルールさえ覚えれば、わざわざ難しくいう必要もない。

この考えは目から鱗だった。

文法なんてものは外国語を覚えるために母国語の違いを表したものに過ぎないものだから、簡単に考えればよかったのだが、わざわざ自分から難しい時制や構文をひねり出して、かえってわかりづらくしていたことが、何度もあった。

・コアから広げる

著者は自身(と彼のお母さん)が日本語を勉強したときの体験から、ひとつの「コア」=「芯」の言葉から少しずつ広げる勉強方法を勧めている。

例えば、「何か問題があった」といいたい時は

What’s wrong?どうしたの?

と言えるようにする。

そして、この言葉をコアにして

What’s wrong with this?(これはどうしたの?

What’s wrong with this the boss today?(今日のボスはどうしたの?

What’s wrong with the printer?(プリンターがどうしたの?

What’s wrong with this idea?(このアイディアの何がいけないの?

というように徐々に使える表現を増やしていく。

なるほど。まずは基礎となるWhat’s wrong?が言えるようになったら、類似語であるWhat happened?やWhat’s the matter?を覚えるのではなく、What’s wrong?を使えるように徹底して、そこからコアを広げていく。

基礎を重視して、徐々に応用していくとはこういうことだったのか。

これに対して、前回紹介した詰め込み教育信者(通称:あれもこれも教)はWhat’s wrong? だけではなく、類似語のWhat happened?やWhat’s the matter?も覚えさせることを基礎学習とみなす。

「とにかく全部覚えろ!! これが基礎というものだ!!」

「基礎が出来ん奴に応用なんて出来ん!!」

「使い方なんてもんは後から覚えればいい!!」

同じ「基礎を重視する」という言葉でも意味は随分と異なるものだ。

・この本をやり終えての感想

この本はあくまでもネイティブの子どもが使うフレーズを紹介している本だったが、初めて知ったフレーズが意外と多かった。

特にオンライン上のメッセージのやりとりでは、メールや会話と同じように、一言で短く返信することが多いため、この本で知った

Oh well. (しょうがない)

You are lucky. (うらやましい)

などの表現が大いに役に立った。

英検準1級を取得した後も、私はこの本で学んだフレーズをよく使っている。

また、この本にヒントをもらった私は、いくつかの表現を捨てて、一つのフレーズに一本化することにした。

「~してもらえますか?」と言いたいときは

Would you pleaseのみを使用して

Will you、Could you、Please、I want you to、I’d like you to、Would you mind~ing

は自分が発するときは封印することにした。

このようにして、極力シンプルに考えて、すぐにフレーズを取り出せる状態にしておくことで、会話もスムーズにできるようになった。

あなたが今から英会話を学ぶための本を探しているのなら、この本を一度読んでみてほしい。

使われている単語は簡単だが、しっかりした英会話フレーズが収録されており、勉強法のヒントにもなるだろう。