私は日本在住で日本語を話す日本人である。
しかし、普段の生活の中で「自分が日本人だ」と意識することはない。
当然、外国人が日本人を褒めてもそれが自分への評価だとは思わないし、日本人のアスリートが海外で活躍する姿を見ても何とも思わない。
だが、世の中には日本は(中国と韓国を除く)世界中から尊敬される国で、日本人は世界一優秀だと信じている人がいる。
本人が意識しているかどうかは別にして、この「日本人=世界一」には
だと思いたい哀れな欲望が透けて見える。
私は彼らと同じレベルに落ちるのは嫌なので、外国人が日本や日本人を褒めても、それを自分への評価だと思わずに距離を置くことにしている。
人は人。私は私である。
だから、(地上波の愛国ポルノ番組は論外にしても)日本が大好きで日本を称賛するメッセージを次から次へと送ってくる人にはうんざりすることもある。
某外国人A:「日本は桜が綺麗だ」
早川:「あなたの国にも桜くらいあるでしょう?」
某外国人B:「日本人は一生懸命働くから素敵だ」
早川:「そういうことはあなたも日本で働いてから言ってください」
某外国人C:「日本の雪は綺麗」
早川:「毎年、雪のせいで死ぬ人もいますが?」
某外国人D:「日本には四季があるから羨ましい」
早川:(自然に文句を言ってもしょうがないのは重々承知だが)夏と冬なんて不快なだけですが?」
さすがに、こんな言い方はしないのだが、本音はこんな感じである。
ただし、自分に日本人という肩書が付いているおかげで、下駄を履かせてもらっていることは事実である。
面白い話ができるわけでもなく、顔立ちがいいわけでもない私が多くの人からメッセージを送ってもらえるのは「日本人」というブランドがあるからだということは認めなければならない。
interpalsでは誰が自分のプロフィールを閲覧したのかを確認できるが、特定の国の人が集まることが多い。
・タイ
・トルコ
・台湾
・メキシコ
大体、この国の人たちは私が「日本人である」ということでプロフィールを閲覧しているものだと思われる。
ちなみに、タイとトルコの人は特に性別の偏りは見られないが、台湾の人は女性、メキシコの人は男性が多い。
これらの国の人は「日本が大好き」と言って私にメッセージを送ってくる。
だが、私は彼らの期待しているような「素晴らしい日本人」ではない。
彼らを魅了する神秘的でエキゾチックな観光地など全く興味がないし、そのことについて質問されても知らないから答えられない。
正直言って、私はそのような人を引き付ける「日本人」ブランドは邪魔くさいと思っていたが(もっとも自分の国が好きだと言われて困るということはないが)、それがなければ彼らの目に留まることもメッセージを送ってもらうこともない。
これには大きな葛藤があった。
というわけで、最近は彼らが興味を持つ日本の文化について少しは耳を傾けるようになった。
たとえば、「日本の桜が綺麗」だと言う人がいたら、
「その国にはなぜ桜がないのか?」
「あるのなら、その国の桜と日本の桜はどう違うのか?」
ということを聞いてみる。
このように、彼らの話を自分には興味がないと言って遮るのではなく、歩み寄るようになった。
でも、東京の観光案内だけは未だに断ることにしている。