英検2級に合格したら、次は準1級を目指すべきなのか?

先月(201910月)はブログのアクセス数が軒並み下落したが、ある記事だけは全く逆にアクセス数を大幅に伸ばした。

その記事がこちらである。

英検2級の壁

一般の人にとってはどうか知らないが、私にとっては10月が訪れると「英検の季節がやって来た」と思う。

おそらく、その英検の合格方法のヒントを求めていた人たちが見てくれたのだろう。

解析ツールで調べてみると、

「英検2級 逆転 合格」

などというキーワードで辿り着いた人もいた。

出だしには「試験前の人が一発逆転できる方法など書いていない」と宣言したんだけどねえ…

私の記事を読んでくれた人たちが無事に合格することを祈っている。

・英検準1級を取ると世界が変わる?

さて、晴れて英検2級に合格した人たちはこのようなことを考えるだろう。

“英検準1級を目指すべきか…”

「英検2級所持」の肩書があれば、自他共に「英語できる人」と考えて間違いないと思う。

それが「準1級取得」となると、「英語が得意な人」から「別の次元の人」として扱われることがある。

それだけ、英検準1級の威力は大きい。

しかし、2級と準1級との差は大きなものがあり、途中で挫折してしまう人や最初からあきらめてしまう人も多い。

はたして、そこまでの労力を費やしてでも、準1級を取得するべきなのか?

私は英検2級に合格した1年後に準1級を取得した人間である。

だから、今のように「自分は英検準1級を持っています」と宣言する前に、「自分は英検2級所持者である」という状態も1年間経験した。

というわけで、試験内容の差についてはいろいろなサイトを見てもらって、今日は経験者の私が、「英検準1級に合格すると、英検2級所持の時から世界が変わるのか?」について、いくつかの俗説に答えていきたい。

俗説①:英検準1級合格者は語彙力が豊富である
「英検準1級に合格する人は知っているボキャブラリーの数が凄い!!」

と言う人がいる。

これは本当だと思う。

試験に合格するためには語彙力の強化が不可欠である。

「試験に合格するか否かは一番最初の単語の穴埋め問題にかかっている」と言う人もいる。

そのため、私も2冊の単語帳を何度も繰り返し覚えた。

その甲斐あってか、2度受験した時も語彙問題の合格率は80%を超えた。

ただし、私が行ったのはあくまでも試験に合格するための単語の暗記である。

文法の時も同じようなことを書いたが「単語を知っていること」と「単語を使いこなせること」は全く別のことである。

・人工中絶→abortion

・迷信→superstition

のように、日→英の順で初めて出てきた単語は、自分が書いたり、喋ったりする時に必要な単語なので今でもしっかりと覚えているが、以前の記事で少し触れた通り、準1級の単語帳に載っている英単語は、日本語に訳した時にすでに別の単語で知っているものが多い。

・inhabitant→居住者

・hunch→直感

これらの単語は、すでに知っているresidentintuitionなど日本語で対となる他の単語を知っているため、どうしても「読む時しか使わないだろう…」と思ってしまう。

要するに自分から進んでこの単語を書いたり、喋ったりすることはない。

だから、試験に合格して勉強を辞めたら大半は忘れてしまうのである。

今でも、英文を読んで分からずに日本語訳を見て、

「あ、それ準1級の勉強した時に見たヤツだ!!」

と思う単語がいくつもある。

分数ができない小学生と同じようなものだろう。

分数の掛け算や割り算は簡単な理屈なので、教えた時は難なく覚えるのだが、日常生活で使用する機会がないからすぐに忘れてしまう。

「準1級に合格するために単語を覚える」ということは、こんないい加減な気持ちで何千もの単語を覚えるに等しい。

覚えて損をすることはないが、英会話の力を身に着けたい人は、その時間を瞬発力を鍛えるなど、別のことに使う方が絶対におすすめである。

というわけで、「英検準1級合格者は語彙力が豊富である」の答えは

“知っている単語は多いが、それを活かしているとは限らない”

となる。

俗説②:英検準1級合格者はどんな長文でもスラスラ読める

英語学習の初心者が準1級の長文に目を通すと、何のことやらさっぱり理解できないようである。

そのような人たちは

「準1級に合格する人はこんな文章を理解できるのだから、きっとどんなに長くて複雑な文章でも正確に読めるんですね」

と思うかもしれない。

だが、その意見はかなり疑問である。

はっきり言って、知らない専門用語が出てくると、2級だろうが、準1級だろうが読めなくなる。

1級の単語の壁は大問1の穴埋め問題でのみ猛威を振るうと思われているが、実は長文でも大きな壁になっていることが多い。

英語の文章を読んでいる時に、知らない単語が文章で何度も出てくると、それだけで頭が痛くなり解答どころではなくなってしまう。

そのため、準1級で長文の問題を解くためには読解力や長文への慣れよりも、結局は「いかに多くの単語を知っているか」にかかっていると思う。

ちなみに、内容は伏せるが、私が受験した時は、すでに日本語で学んだことがある内容の長文が出てきたため、その文章の問題は全問正解とかなり得をしたことがある。

だから、準1級の長文問題を解けることが、そのまま「長文に対応できる能力を証明する」ことにはならない。

私自身、試験に合格したから、「今までよりも複雑で長い文章が読めるようになった」と思ったことはない。

逆に、準1級の問題が解けなくても、日常会話程度の長文を読んだり聞いたりすることは問題ない人も多いと思う。

というわけで、「英検準1級合格者はどんな長文でもスラスラと読める」のではないかの答えは

「英検準1級に合格すること」と「長文をスラスラ読める」ことは無関係であり、英検準1級に合格しても他人の英語を一言一句正確に理解できるということはない。

となる。

俗説③:「英検準1級」を取ると「2級」の時と比べて、周囲の評価が明らかに変わる

これは本当。

袋叩きになることを覚悟で言わせてもらう。

「私は英検準1級を持っています」と宣言すると間違いなくモテます。

2級が「英語が得意な人」だとしたら、準1級はそのレベルをはるかにブチ超えた「エキスパート」のように思われて、「凄い!!」とか「カッコいい!!」と言われます。

だから、読者のみなさんには、ぜひとも英検準1級に合格して、職場で「私は英検準1級を持っています」と何気なく宣言して「スゴーイ」と言われる快感を味わってほしい。

・・・とは言ったものの、これはけっして良いことばかりではない。

客対応の必要がある職場では外国人が来ると他所の部署からも引っ張りだこの人気者になるのだが、それは仕事の丸投げに等しく、その仕事を押し付けられたとしても給料が上がるわけでもない。

だから、あえてここでは「モテる」という言葉を使った。

この記事にも書いたが、「モテる」ということは良いことばかりではないのである。

ちなみに、英検準1級を持っているからといって、直ちに語学関係の職に採用されるわけでもない。

最近の企業はどこもTOEICを(過大)評価しているので、就職活動で評価されるのは

TOEIC600点 > 英検準1

だと思う。

それどころか、就職活動では「英検準1級」の肩書が足枷になることもある。

何はともあれ生活のためにはとりあえず仕事に就かなくてはならないが、履歴書に英検準1級などと書こうものなら、間違いなく「英語が得意なら、それを活かせる所に行きなよ」と突っ込まれる。

「こっちも生活があるから仕事を選ぶ余裕はねーんだよ(怒)!! バカ!!」

と口答えの一つでもしたいところである。

これが「英検2級所持」の肩書なら「学生時代は英語が得意だったんですね」くらいの反応で済んだのではないかと思ってしまう時がある。

というわけで、

「『英検準1級』の肩書は『2級』の時と比べて、周囲の評価が明らかに変わる」という説は本当だが、それは決していいことばかりではない。

・結論

英検2級も準1級も他人からの評価以外はそこまで変わらないから、準1級を取った瞬間、「世界が変わる」ということはない。

もちろん、試験のために勉強をするのだから知識は増える。

ただし、「極端に2級の人と技能の面で差が出るのか?」と聞かれたら、そこまでの大差はないと思う。

実際に私がカナダやフィリピンへ行った時は「英検2級所持」の状態だったが、店員や空港職員とのやりとりは問題なく行うことができた。

そのため、英語圏の国で日常生活を送るには2級程度の英語力で十分なのではないかと思う。

2級は正しい訓練をすればそれなりに合格することはできる。(※「簡単に」とは言っていない)

1級もそれなりに時間と労力を費やせば合格は難しくないだろう。

ただし、私はそれに見合った対価が得られるかどうかは保証できない。

それだったら、出来るだけ多くの英文を読んだり、会話をすること方がより良いことに繋がるのではないかと思う。

どうしても、英語を使って他人を跪かせたいのなら、TOEICの方がおすすめである。